短い

□World end
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『"終わり"なんてない』

今までずっとそう思ってたのにな…

-World END

"芸術は永久の美"

だからあいつとは元々合わないと思っていた。

「芸術は爆発だ」

あいつがずっとそう言っていた。

「…何でそんなに"一瞬"にこだわるんだ?」

「"一瞬"はオイラの芸術だからだ、うん」

何の迷いも無く即答する。

初めはあいつが大嫌いだった。

折角作り上げた芸術を一瞬で壊してしまう、その意図が分からない。

「旦那、人や物には絶対"終わり"ってもんがあるんだぞ、うん。
旦那の"終わり"も、オイラが美しくしてやろうか?うん?」

「…バカが」

俺に"終わり"なんてない。

その"終わり"をなくすためにこの身体になったんだからな。

「…ま、旦那は傀儡だから"終わり"なんてないな、うん!」

そう言ってあいつは笑った。

「分かっているなら言うな」

そう言って砂に向かった。

「砂って旦那の故郷だろ?うん?」

「…だったら何だ」

「いや、リーダーも酷だと思ってな、うん。わざわざ故郷つぶしにー…っ!」

「それ以上言えば殺す」

首元にヒルコの尾を当てれば素直に黙った。

「…本気にすんなよ、うん。
ま、旦那がそういってきれないと砂壊せなかったからいいや、うん」

「また、壊すのか…」

「当たり前だろ、うん。
オイラの芸術は爆発だ」

そう言ってあいつは飛んで行った。

ー…にしても、今の格好はあまりにも無様過ぎる

両親の形をした傀儡に唯一の弱点だった"蠍"の字、ぶっ刺されて血吐いてる。

"永久"もここまでだな…。

やっぱり何事にも"終わり"はあるのだと初めて思った。

そーいえばあいつはこんなことも言ってたな…。

『旦那、その"終わり"を美しく見せる、それがオイラの芸術だ』

はっ、笑わせんじゃねーよ。

あんなのただ爆発させてるだけじゃねーか。

「だぁーんなっ♪」

もう血の気もなくて、前倒れになった俺の前にあいつがいる。

「ね、言っただろ?旦那にも"終わり"があるんだって、うん」

「だ…黙れ…」

「約束通り、美しく終わらせてやるよ…うん…」

そう言ってあいつはポケットから何かを取り出した。

「オイラ的に、美しい旦那は爆発させたくないんだな、うん」

シュボッっと音がして、火が灯った。

「燃やしてあげるよ、旦那…」

しばらくその炎を見つめていたが、やがて

「バイバイ、旦那…。出来れば"終わり"のない世界で一緒にいたかった…うん…」

そう言って悲しそうに笑うと、火の灯った棒を俺に向けて放った。

着ていた黒いマントに着火し、両親の形をした傀儡にも着火していった。

炎の間から見えたあいつは、笑っているわけでもなく、泣いているわけでもない。

ただ、いつものあいつからは絶対に見られることはない無表情で、ひたすら俺を見つめていた。

目が合ってもお互いそらすことはない。

ちっ…何て顔してんだよ…。

ふと、あいつの口元が動いた。

声は聞こえない。

でも、あいつの言いたいことは分かった。

だからちゃんと返事した。

声なんて聞こえてないのは分かっている。

でも、あいつが少し笑ったから伝わったと思う。

「っ…」

火はもう全身を覆いつくそうとしていた。

もうあいつの姿は見えない。

俺はそのまま目を閉じた。

「…旦那」

「よくやったな、デイダラ」

「…!リーダー…」

「次の任務に移る。アジトに戻れ」

それだけ言ってペインは消えた。

「っ…」

あいつはそのままそこを立ち去った。

背後に燃える七輪の炎を、もう視界に入れることはなかった。

"終わり"をなくすために傀儡になったのに全部台無しにしやがって…。

『好き』

あそこであんなこと普通言うかよ…。

まぁあいつだから言うのかもしれねぇがな。

『好き』

バカが…。その言葉の意味なんてとっくの昔に忘れちまったよ。

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-END



私のよき友達であります、刹那からの頂き物です^^
まさかの死ネタですが、いい話です!
どうもありがとうございます!
またお願いしますねー(笑)




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