短い

□強さと弱さの境界線
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妹には、元々それ程興味は涌かなかった。
むしろ、夜王であろう父のあの腑抜けた姿を見せることに怒りさえあった。


そんな妹の存在をさっさと消したかった。


存在さえもが疎ましい。
そう思っていたのかもしれない。
俺はじっ、とまだ幼い自分と同じ髪色の髪を揺らす、「妹」を見る。





「妹」は、ニッコリと花が咲いたような笑みを浮かべると俺を見て「にいちゃ」と言った。


まだ言葉足らずな「妹」を冷たく見下しても、変わらぬ笑みで「兄」の返答を待つ「妹」。
俺はそのまま「妹」の髪を撫でてその場から抜けた。






あの時感じた、確かに感じた殺意に任せて「妹」を殺せばよかったのだろうか。
急ぎ足になる足。
殺せなかった自分には本能が無いのか。



迫る恐怖感さえもが憎たらしい。






この傘で、俺に笑いかけたあの女を殺せば良かったのか…。
そっと自分の黒く、かすかに血がかたまった傘に触れる。俺の血が、ざわつくのを感じる。どくどくと、俺の瞳が輝いてくる。
しかし、
結果、殺せていない自分に自嘲するしかなかった。





この時確かに思ったのだ。
あの女は成長して、強くなったら絶対に殺してやる、と。
「妹」を殺すのは俺しか居ないと。













「神威ィイイイイ!!!!!」



天井があらわになった吉原。
そこで見た、懐かしい「妹」の顔。
「このクソ兄貴がァァ!!!」
なんて、聞こえてくる。




「まだ生きてたんだ。ちょっとは強くなったようだね。」




俺は、「妹」に目をうつす。
今でも俺を「兄」と言う「妹」の姿がひどく面白くて。



俺はニッコリと微笑みながら、言ったんだ。









「神楽を、よろしくね。」








いつか俺も、お前の期待に沿ってあげるよ。
お前を殺すときは、




「兄」として、





ちゃんと「妹」を殺してあげるから。






そのときの空はひどく眩しく、照りつける太陽を避けるように傘をさした。





その傘でお前を殺す


俺はお前が好きなんだ


きっと俺を楽しませてくれるだろう?








「あはは、楽しみだ。」




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END


神楽はまだ死なないぜ、神威兄さんよ!←

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