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□追い掛けて(染吹)
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「うぁぁ〜!!」
けたたましい音と叫び声を残し少し前を歩いてたハズの染岡君が消えた。
「うっしっしっし」
周りのみんなが唖然としている中イタズラの成功に木暮君の笑い声がする。
「木暮ぇぇ〜!!」
鬼のような顔をした染岡君が落とし穴から這い出し、もうすでに逃げ始めている小暮君を凄い勢いで追い掛けていった。
いつものことなので気を取り直したみんなは行ってしまったけど、僕は1人走って行く染岡君を見つめていた。
良いなぁ。小暮君構って貰えて。なんだかんだ言って染岡君も楽しそうに見える。
照れ屋の染岡君を追い掛けてるのはいつも僕で、それでも大好きだから追い掛けてしまうのだけど、たまには僕の事も追い掛けて欲しい。それは僕の我が儘なのかな。
ダッーっと勢いよくかけてきた小暮君が僕の後ろに隠れ笑っている。
しょうがないな。でもコレは一言言っておかないとね。
隠れている小暮君にゆっくり振り向きながら「小暮君、あんまり染岡君にイタズラしてるとオバケが来るよ」一瞬アツヤ気味にニッコリ笑いかけると、小暮君は悲鳴をあげながら慌てて逃げていった。
「なんだアイツ?」ようやく追いついた染岡君が不思議そうに首を傾げている
「なんでもないよ」とニッコリ微笑みながら答える僕に少々呆れた顔を返してくる。