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□背伸び(虎豪)
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「豪炎寺さん!いつになったら俺に手出してくれるんですか?」

強気な年下の彼が勢いこんで詰め寄ってくる。

「はっ?おまえ何言って…。」

久々に遊びに来た虎丸の部屋で雑誌を見ながら彼が店の手伝いを終えるのを待っていた豪炎寺は少々愕然として虎丸を見つめ直す。

「おまえ言ってる意味…分かってんの…か?」

「分かってますよ!俺達付き合ってるんですよ!」

本当に分かっているのだろうかと豪炎寺は溜め息をつきながら肩を落とす。

「ませガキ…お前まだ小学生だろ?」

「えー!小学生は、何もしちゃ駄目なんですかぁ?好き同士なんですから良いじゃないですか?」

少々情けない子犬の様な目で見つめてくる。
そんな虎丸の目につい甘い豪炎寺だが、此処は引くわけにはいかない。

「駄目ってお前…流石に小学生には…俺が良くない…。」

「それなら何時ならいいんですか?」

「うーん。高…校生?」

「そんなに待てませんよ!」

考えて妥協点を提案してみるもあっさり却下される。

「でも…。」

眉間にシワを寄せ心配そうな顔で虎丸を見つめる豪炎寺の目が揺れた。
豪炎寺だって虎丸が自分を好きだと思ってくれてるのは分かっている。だが自分達は男同士なのだ。おまけに虎丸はまだ小学生でどれだけ女子を意識したことがあるのかすら分からない。

「でも、お前が将来後悔したら…。」

「えっ…。」

虎丸が驚いている。

「後悔なんてしませんよ!」

「でも、お前は尊敬してくれてるだけかもしれないだろ?」

虎丸がいくら今豪炎寺を好きだと思ってくれていたとしても好きな女子が現れたとき男の自分と付き合った事を後悔してツラい思いをさせる様なことは避けたい。今のままなら尊敬する先輩に憧れと好きを混同していたと笑って済ませられるだろうと豪炎寺は考えていた。

俯き絞り出すように呟いた言葉に暫く口を噤んでいた虎丸だが

「じゃ俺から手を出すなら構いませんよね!」

ときっぱり言い放った。

今度は、豪炎寺が驚いて絶句する。こいつは…と思いキッと見上げた豪炎寺の唇にチュッと温かい物が掠める。最初なにが起こったかわからなかった豪炎寺だが、その微かな温もりの感触を指で確認すると顔を赤くして固まる。

「覚悟してくださいね。豪炎寺さん!」

と生意気な顔で笑って見せる虎丸にドキドキしている自分を励まし。

「絶対負けない!」

とは言いったものの豪炎寺には珍しく負けそうな気がしていた。



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