ハピバ小説

□ボーボボ
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今日は4月1日。
オレの誕生日だ。
この日はオレにとって1番大事なイベントであり、同時に自分が世界の頂点に君臨する日だと思っている。
いや、君臨しないとヤダ。


さて、今年は何を貰えるんだろう。
今年はどんなご馳走が食べられるんだろう。
ビュティの作る料理は旨いからな。



オレは朝食を作るビュティの後ろに立つと、わざと指をくわえて赤ん坊のように今日の食事につい訊いてみた。



「ビュティー?今日のご飯はなーに?」


「サンドイッチだよ」


「あとはあとは〜?」


「え…?それだけだけど…まだ朝だし……」



予想とは大きく違ったが、まだ朝だから仕方ないか。
それによくあるお誕生日ドッキリかもしれない。



「今日がなんの日かわかるー?」



試しに問いかけてみると、ビュティは一瞬困ったような顔をして答えた。



「え…、えっと…わかんない」



今日はまだ始まったばかりだ。
もう少し様子を見よう。
この瞬間、オレはそう決めた。



それから朝食を食べたが、別段いつもと変わりはなかった。
朝食でドッキリを仕掛けている様子はなさそうだ。
ならば昼食に期待するしかあるまい。



オレは期待を抱きつつ近くの街へと向けて旅を再開させた。



街に到着し、11時半をすぎた頃、仲間たちと昼食を取ることになったのだが、それでもまだオレを祝う雰囲気は感じられなかった。



コレは、もしかしてもしかするのか。
イヤだー!誕生日忘れられるなんて天の助みたいな扱いヤダー!、なんて思ったオレは次第に焦り始めてしまった。



気づけばオレは、ショーケースの中で他のマネキンたちと一緒にマダムになっていたんだ。



「いやおかしいでしょ今の流れ!?ボーボボ何やってんの!!?」


「ボーボボじゃないザマス!マダムザマス!ザマスザマス!ザマスマダム!?」


「ハイハイわかったから混乱するならやめようねー」


「くっ…、「」以外にまでツッコミをいれるとは…さすがビュティ」



半ば呆れた顔で宥められたオレは、もう1度、今度は他の仲間たちにも今日が何の日なのか尋ねてみる。
しかし、みんな口を揃えて「わからない」だの「何の日でもない」としか言わなかった。



「うっ…う〜っ……」


「ボーボボ…どうしたの?」


「だってぇ〜!みんな今日が何の日か覚えてないんだもの〜!」



オレは膝を地面に着き、ハンカチを噛みながら泣く。



「ぐえっ!!?」



同じ扱いもイヤだったからついでに天の助は殴っといた。



そのときだ、12時を知らせるメロディが街に流れてきたのは。
時間なんて知ったこっちゃなかったが、このメロディを聴いてから、ビュティはふと柔らかく笑った。



「ボーボボ、誕生日おめでとう」



オレが驚いて顔を上げると、ビュティは無邪気にまた笑ってみせる。



「今日はエイプリルフールだから、午前中は嘘をついてもいいんだよ!ボーボボの誕生日を忘れるワケないじゃん」


「じゃあご馳走食わせろやー!」


「雰囲気の欠片もねぇー!?」



良かった…天の助と同じ扱いじゃなくてホントに良かった……!
じゃなくて、こうしてオレは、今年も優雅で上品な誕生日を過ごしたんだ。



(嘘ばっかりだ……)


「ビュティ」


「何?」


「昼飯はいっぱい食うぞ」


「…うん!」







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