ハピバ小説

□ランバダ
1ページ/2ページ




「ランバダ様!誕生日おめでとうございます!!」


「あ?あぁ…」



廊下のとある一角。
突如こちらに走って来たと思えば、この一言だ。
去年との差があまりにも大きいので、事を飲み込むのに少し時間がかかってしまった。



当の走って来た張本人、レムはキラキラと期待の眼差しをオレに向けている。



「では、私はこれで!」



オレにプレゼントを渡し終えたレムは、言うや否やすぐに廊下の角を曲がり、オレの視界から消えて行った。
一体何だったと言うのだ。



「…………」



キレイにラッピングされた箱に目を向ける。
ちらり、と周りに人がいないことを確認すると、オレはその箱を開けた。




びよよ〜ん




「……あ?」


「やった!ランバダ様が引っ掛かった!!」



箱の中からはバネの付いた奇妙な顔が姿を現し、先程の角からはレムが顔を覗かせた。



「ランバダ様!驚きました!?」


「…何だこれは?」


「びっくり箱ですよ!」



オレの前まで駆け寄って来ると、レムは子供のような無垢な瞳でオレを見る。



「去年と同じじゃつまらないと思ってやってみました!」



ピキピキ



「…あ、れ?」



ガシャーン



レムの話を一通り聞き終えると、オレは持っていたびっくり箱をポリゴンにして握り潰した。



「ラララランバダ様!?」


「このオレにびっくり箱とは…いい度胸だな、レム」


「えっ?…いや…そんなつもりじゃ……!」



もちろんこちらにもポリゴンにしてやろうだとか、そのような行動に出るつもりはない。
ただ、少し懲らしめてやっただけだ。



「ご、ごめんなさいっ!」



こんなことで小さな優越感に浸るオレもそうとう質が悪い。



「…今日はその度胸に免じて許してやるよ」



レムの頭に手を乗せて、髪をぐしゃあっとしてやった。



「来年も…期待しとくからな」


「へっ?」



1度ならず2度までも驚かされたんだ、次はそうはいかない。



「…は、はいっ!」



頭から手を退けると、レムの横を通りその場を後にした。



照れくさいだとか…オレが思ったことは、言ってやらない。



こうして、年に1度の小さな楽しみができた。



「…オレらしくない……!」







→あとがき
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ