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□第一章『BLOODY WOLF』編
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辺境の街ミルベッシュのハンターズギルド






俺は煙草の煙とざわついた狩人達の中、酒を飲んでいる





………日が高く昇った昼間からだ




いや、別に仕事をしてない訳ではない




俺のやってる仕事は特別であるから、たまにしかやらない。


そして1度で1ヶ月は遊べる金が入る。




まぁつまり俺は『ハンター』をしているわけで、こんな生活は日時茶飯事なんだが……



俺は今ものすごく機嫌がわるい。



何故なら………




「フランツさん、狩連れてって〜連れてって〜」


…………そう、こいつら

フランツと言うのは俺の名前だが、さっきっからその名前を叫びまくって酒場中から視線を集めているこの『女』



いや女というには若すぎる



この『少女』のせいで俺のストレスゲージがMAXになっている………



「リン、もう少し静かに頼みなよ〜」


そのリンと呼ばれた少女をなだめる、片割れの少年がオロオロとしながら言う


「テイルは黙ってて。私は今、この人と話してるの」



話してる?


………まぁ若干の間違えは訂正すると、俺はさっきから一言もしゃべっていない



「話してるって……リンが一方的に駄々こねてるだブフェッ…………」


ツッコミを入れたテイルにすかさず右ストレートがキマる



テイルは四股を投げだし、螺旋回転しながら吹き飛ぶと木製の壁に物凄い音を起ててぶつかった




…………こいつ…女か?




まさに開いた口が塞がらない




そしてパンチ一つでここまで吹っ飛ぶ人間を未だかつて見た事がない



「ねぇ、フランツさ〜ん。連れてって〜」



なにもなかったかのようにリンな『話し』と呼ばれるものが始まった



軽くため息を付き、目を閉じた



ここらで叱っておかないと俺の『大人』としての威厳が保てない


だが、そう考えているうちに口の端を拭いながらテイルが立ち上がった



「姉さん、いきなり右ストレートはないよ」




言い忘れたがこいつら姉弟だ



「テイル、何をいっているのかしら?。わたくしがそんなはしたない技をキメるとでもお思いですか?」



「はい姉さん、お嬢様言葉を使ってもダメです。第一『技をキメる』とかいってる時点でお嬢様から現実の姉さんに引き戻されます。第一姉さんにはお嬢様は似合いません」



とりあえず飛び火がないように彼らの会話を黙って聞いている



「………………」

だがテイルの手痛い言葉にリンは黙りこんだ



「それに姉さんはハンターやってる時点でお嬢様さまとは掛け離れてるんですよ。ハハハハハハ」



弟のテイルはここぞとばかりに弱みに付け込む



とりあえず俺は黙りこくったリンを助ける為に口を開く



「まぁアレだ、リンもテイルを見習って大人しくするべきだな。さっきから騒ぎっぱなしで周りも迷惑し………」


「ア゙ァ?」



リンから何か大切なものが切れた音が聞こえた



「テメェ、調子に乗ってっとケツの穴に指突っ込んで奥歯ガタガタいわすぞ?」



「はぃ、すみません、リンお嬢様」


静まり返った酒場で、俺はリンへの言葉使いが変わった




周囲から唾を飲み込む音が聞こえる




「なぁテイル。テメェもなんか言ってなかったか?」




リンが今まで腰にあったハンマーを取り出す




寧ろリンはそういうレベルの話しじゃなく、ハンマーを手首で回していた



「何を言いますか、リンお姉さま。ハンマーを軽々回しているお姉さまに向かって何をいいましょうか」



テイルもかしこまった態度をとっている




「そうか、ならいんだ。…………それでフランツ様、狩にはお連れになってくださいます?」



再び口調を変えたリンに、俺は迷いもなく答えた



「もちろんでございます、リンお嬢様」





こうして俺の止まっていた物語が再び進みだした











偽りの英雄達
第一章
『BLOODY WOLF』編
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