オリジナル

□Hello my Friend
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馬鹿みたいに鳴き続ける蝉の鳴き声が耳に響き、夏の終りのコンビニの駐車場は茹だるような熱気が立ち込めていた


ゆっくりと吸い込んだ煙草の灰が地面に落ち、彼らは短くなったそれを投げ捨てながら煙りを吐き出す


当時と変わる事ない場所にポツリと佇む彼らは、何を話す訳でもなく駐車場の車止めの後ろにあるコンクリートの壁に寄り掛かっていた


もう20代かそこらになっただろうか……その二人の寄り掛かるコンクリートの足元には、はいつくばっていけば人一人がギリギリ通り抜けられそうな穴が空いてる


その穴の左右に二人は寄り掛かかったまま、再び煙草に火をつけた


真っ青な空にのしかかる巨大な積乱雲が二人の遥か頭上に広がる


片方の茶髪の男がしばらく立ち上る煙りを眺めていたが、おもむろに火を消すと壁から体を起こす


「なぁ……俺達もこの場所も…いつまでも変わらないままでいいのか?」


そう言ってコンクリートの壁に出来ている小さな穴を眺める茶髪の男


左の耳に付けた不思議な色をしたピアスが、夏の終りの蒸し暑い風で揺れる


「結局……俺達にはここしかないからな」


もう一人の短い黒髪も身を起こしてそう言うと、懐かしむ様に右の耳のピアスを触りながらその穴を眺めた


「俺達が忘れれちゃ……あいつが戻るところがないだろ」







茹だるようなアスファルトの熱気を感じながら、二人は煙草をくわえる





当時と何も変わらない、見慣れた景色の下で……
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