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□ヴァンツの物語
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程なく揃った足音が聞こえ、俺達以外の12ナイツが姿を現した。
俺達の後ろに整列するや否や、大長老に向けて膝をつく。
「12ナイツ、只今参上致しました。」
形式張った挨拶を終えた彼らは、一斉に箱に視線を向ける。
本能的に危険だと判断したのか、身構えて剣の柄に手をかける者もいた。
「皆集まったようじゃな…。
見ての通り、この箱は…いや、正確にはこの箱の中身じゃが、計り知れぬ程の波動を放っておる。
そこのヴァンツ・バージル・エルメリアの3人が任務から持ち帰った物じゃ。
しかしながらおぬしら12ナイツ全員を集めたということは……言うまでもあるまい。
この箱を開けたとき、何が起きても迅速に対応できることを期待しておるぞ。」
「はッ!!」
一瞬の間を置き、12ナイツ全員が身構える。
誰も逃げようなどとは考えない。
12ナイツの誇りに賭けて、何が起ころうとも、皆を。ギルドを。この街を守るために命を懸ける覚悟でいるのだ。
「では……バージルよ、箱を開けるのじゃ。」
「はッ、かしこまりました。」
12ナイツの中で1番のベテランの彼が、箱を開けるという重役を任された。
バージルが箱に歩み寄り、ゆっくりと屈む。
すぐ後ろに俺とエルメリアが付き添い、互いに視線を合わせて剣の柄に手をかける。
バージルが留め金に指をかけ、それを外す。
ついに蓋を開けようと手をかけ、精一杯の力を込めて押し上げた。