特殊夢小説置場
□Little chimera 〜可愛い亜種〜
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※特殊夢(血液型関連) ほのぼの
※坂田銀時/桂小太郎中心
「サクラ殿、奇遇だな。」
『えっ?…ってげッ(何故こんな所に小太さんがっっ???)』
自動販売機で飲み物を買おうとしたら販売機の後ろに隠れていたであろう男が顔を覗く、それに少女……怨み屋がもの凄く嫌な顔をしたのは言うまでもない
『貴方何やってるんですか。』
「うむ、自動販売機の下に何か落ちてないかと思ってな。」
『うっわ…小太さんがホームレスと化してる。』
己のブラックリストに載る男なんかと関わりたくなかった彼女は、すぐさま立ち去ろうとした。
だけど妖しく微笑む桂があまりにも不気味で
柄にもなく足が竦んだ
「サクラ殿、此処で逢ったのも何かの縁だ。俺に何か奢ってくれまいか?」
『絶対に嫌ですよ、つうか本名を口にするな本名を。』
嫌悪するかのようにして目を逸らせば両頬に手を添えられる、そして事もあろうかグググッと顔を近付けられて彼女の嫌悪が増加した。
「俺は別にいいんだがな、サクラ殿は困るのではないか?おまえの正体が知人共に知れたら。」
『……脅し、ですか。』
「脅しではない桂だ、人聞きの悪い事を言うと貴様もタダではおかないぞ。」
『桂さんっ……』
「桂ではない、小太だッ!」
『(何なんですかこの人、話が通じないどころの話じゃないですよ。あああ殴りたいっ)』
桂小太郎の顔はとても近く、脅しにもより威力が増す
本当なら助けを求めるべく声を上げてしまいたいところなのだが、脅しに遭ったためか…大胆な行動に移せない
怨み屋は諦めたとばかりに溜め息を漏らし口を小さく小さく開けた、そしてこれまた小さく声を出す
『分かりました、今日だけは奢りま――』
「ヅラァァア!テメェ俺の桜ちゃんにナニしてんだコノヤローッ!!!」
「その声は銀時!別に俺達はやましい事なグフッ!!」
『(タイミングがいいなぁ)』
俯き加減でボソボソ言っていたためか最初彼女は気付いていなかった、銀髪の侍が此方へ全力疾走していた事に
ふと顔を上げてみると坂田銀時の顔が間近にあり、彼女は内心でちょっぴりと驚愕する
「大丈夫か!?ヅラにキス迫られてんの見たら凄い勢いでヅラの事殴っちまった…っ」
『捉え方がおかしいですよ坂田さん、脳内の痴情を何とかして下さいません?あと抱き付かないで下さい、暑苦しいです。』
眉間に皺を寄せた怨み屋は気分を更に害したのか
銀時の首に歯をおもいっきり立てる、その際己の舌と唇が彼の肌に触れぬ様結構頑張ったのは言うまでもない
「いッッたあああ!何すんだよテメェはッ!!」
『(坂田さんの精気を吸ってしまうところでした、危ない危ない。)』
「銀さんはおまえを助けてやったんだぞ?なのにテメェはチーターが獲物を捕えるみてェに歯ァ立てやがって!!」
くっきりと残る歯型、それに彼は怒り狂い怨み屋の髪を鷲掴みにした。
地毛でない髪を掴まれても痛くはないのだがあまり引っ張られると鬘が取れてしまう、さあどうしたものかと彼女は考えた。
「やめろ銀時!サクラー…ゲホゲホッ、桜殿は不器用なだけなのだぞっ!!」
『誰が不器用ですかコノヤロー。』
不器用と口にした怨み屋は其処でハッとする、大型の台風が江戸に接近していると言うのに何故自分は此処に居るのかと
本来の目的を思い出した…否、思い出してしまった彼女は桂の顔を見やり小さく言葉を呟いた。
『そうだ、ストラップとか言うものを買いに来たんだっけ。』