捧げ物

□雪の日の鍋
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俺は松永の家に来ていた。
まつ姉ちゃんと利には悪いけど、今日は帰る気はない。
てか、帰れないッ!!
外は見事に吹雪、かなり積もってきていた。
こたつの上にあったリモコンを取りテレビをつける。
ニュースでは肝心の天気予報ではなく、スイーツ系の店が紹介されていた。
もうクリスマスが近いのか。
一緒に過ごせたらいいなぁ。
俺はともかく松永は仕事で忙しく、今日も遅くなると言っていた。

「……飯でも作って待と」

のろのろと暖かいこたつから這い出し、台所へ向かった。






「寒い」

玄関の開く音と松永のぼやきで、こたつの中で舟を漕いでいた俺の意識が浮上した。
軽く伸びをして玄関へ。
松永は雪まみれになっていた。

「お帰り〜」

見るからに不機嫌な表情。
ちなみに、松永の不機嫌は無表情だ。
松永は荷物を持って自室に着替えに行った。
俺は作っておいたおでんを温めに台所に行き、ついでにガスコンロをこたつの上に置き、鍋をその上へ。

「ほう、今日は鍋か」

松永は着流しに羽織の出で立ちで部屋へ入ってきた。
寒くないのかよ。
突っ込みたくなるのを抑え、ご飯とお箸を用意。

「それでは、頂こう」

そう言って俺と松永は鍋をつつき始めた。
ひたすら無言で食べ続けるが、もともと騒がしくはっちゃけた性格の俺が無言に耐えきれるわけもなく、松永に話し掛けた。

「おでん美味い?」

「あぁ、美味い」

「そっか」

……会話が続かない!!
一言ですますなよあんた!!
短すぎるだろ!!

「……何をそんなにむくれているのかね?」

「別に」

いつの間にか膨れっ面になっていた俺は、松永の指摘に素っ気なく返した。
せっかく2人きりなのに会話無しなんて嫌だ。

「こちらを向け。慶次」

渋々と顔を松永の方へ向ける。

「クリスマスは空いているかね?」

一瞬なんのことか分からなかったが、とりあえず頷いた。
キョトンとしている俺に松永は面白そうに目を細くする。

「休みが取れたのだよ」

「えっ?てことは」

「共に過ごすことが出来る」

突然のことだったけどすっごく嬉しい。
クリスマスが凄く楽しみだ。
今度は程々に降ってくれよ、雪。

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