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□出来ることなら脳天撃ち抜いて
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「ねぇ――」


それは、晴れの日。


「嘘、つきの気持ち…分かるかな?」


脳天、
撃ち抜かれるような。


「好きなのに好きじゃないって言わなきゃいけない人間の気持ち、考えたことあ
る?」


そんな、告白。








【出来ることなら脳天撃ち抜いて】








「あのさ、好きとか言われても困るんだってば」


ある晴れた、午後。
一世一大の、告白をするもの…あり。


「…や、それは分かるんだけどね…」
そんなあっさり断らなくてもいいじゃない、と。


輕口を叩くように茶化してはみれど。
金色の思考は傾きもせず、ただただ眉をしかめたままで。


「……ね、ナルト…」


少しだけでも、態度を軟化させてみようと心構えてはみても。


「触んな、変態」


脅える狐のよう、刃を剥き出しにした金色には通じずに。


(…対応、間違ったかな)


自らの決断を、悔やむ他になさそうだ。


三日前、うずまきナルトに告白した。
理由は、好きだったから他ならないけれど。

ナルトは信じていないらしく、軽く交わされた。

めげずに毎日毎日、告白を繰り返す三十路男。
それを金色は、変態と罵った。


(おかしい…)


他称変態、三十路男である俺は、少なからず勝気が見えたからこそ金色に告白を
したのだけれど。

予想通りの反応をしてくれない金色に、毎日毎日侮蔑される日々。

(…どうしてなの?)


どこをどうみても、オマエは俺が好きなのに。
どうして俺を拒むんだろうね?

何処からこの自信が沸くのかは分からない。
されど、確実にこの金色は俺を好きなのに。


「ナルト…好きだよ」


ある意味、賭けだった。
これに対し、金色が眉を更にひそめるならば。


(その時は、綺麗に諦めなければならないのかもしれない)


頭の片隅に浮かぶ、最悪の末路。
それだけは、避けたいと思った。

「カカシ…せん」


先生、とか細く聞こえた声を取り溢すほど、三十路男は甘くないよ。


「ナルト…好きだよ」


たたみかけるように、甘く囁いてあげる。


「っ……」


金色が揺れる。
ゆらゆら、揺れる。


(もう一押し?)


期待に胸が膨らめば膨らむほど、金色の顔は歪んでしまうけれど。


「…ね、ナルト…後悔させないよ…?」


一生、オマエを愛してみせるから。


「ナルト…好き」


晴天の空、
眺めたまま俺。

オマエの言葉、待ちましょう。


「…ね、先生」


オマエがくれる言葉なら、どんな言葉も。


「…嘘、つきの…気持ち…分かるかな?」

俺は受け止めましょう。


「先生が…好きなのに好きじゃないって言わなきゃいけない…俺の気持ち」


――ああ、分かるよ。


「…ナルト」


俺は、何度だって。
オマエの耳に囁くよ。


「ナルトが好き」


出来ることなら、
俺の言葉がオマエの脳天、突き抜ければいいのに。


ダメな大人はそんなことばかり考える。






end
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