09/04の日記
20:56
*今瞳を閉じて心のまま僕は君を想う
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微破廉恥、シリアス風味ですのでお気をつけください。
*手塚+忍足+白石×不二
『不二・・・。』
あの声が、忘れられない。
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聞こえるのは低く響く艶やかな音色。
それを直接耳元で囁かれたら当然、たまったもんじゃない。
しかも、僕がそれに弱いと知っていながらの行動だ。
ピクンと反応を示した僕の躯に、目の前の紫の瞳が怪しげに細められ、口元もそれと同様に楽しそうに孤を描く。
いつもかけている度の無い眼鏡は、ベッドの下に僕の衣服と共にとうの昔・・・までは少し大袈裟だが、既に少し前に投げ捨てられていた。
ふと、さらりと少し長めの紺の髪が僕の首筋を掠り、それすらが小さな快感に変わっていくのを感じる。
彼の長細い指が僕の肌を伝い、そのたまらない声とシンクロするように悪戯に動いていた。
触れるか触れないかというそれだけの程度、かと思えば感じる部分を的確に躊躇いなくしっかり突いてきて。
その度に受ける快感という名の衝撃に、僕は拒むことなく甘く酔いしれてしまう。
証拠に、絶え間無く発してしまうまさしく不謹慎な嬌声はそれを上手に物語っていて、彼はそれに益々口元を妖艶に綻ばせるのだった。
・・・それにしても。
嗚呼、僕は今彼の全て、総てに酔ってしまっている。
どうして、
こうなってしまったのかな。
僕が弱かったから?
彼が強かったから?
・・・僕が淫乱だったから?
本気で彼・・・等を拒まない僕は淫乱そのものに決まっている。
与えられる快感を素直に受け入れ、またそれからも貪欲に欲するのだ。
ごめん、ごめんね、手塚。
君が嫌いなんじゃない、
寧ろ愛してる。
例えこんな僕でも。
でも、彼も愛してるんだよ。
君と愛の深さを比べることなんてしないけど、やっぱり同様に、間違いなく『愛して』いるんだ。
・・・ううん、きっと違うね。
僕が一番に愛しているのは快楽、なんだ、ね。
誰よりも、何よりも。
愛して、る?
・・・いや、依存して、る。
狂いたい、狂わされたい。
壊れたい、壊されたい。
叫び、歎き、
心が、躯が、感覚が、
麻痺してしまうほどに。
・・・誰が初めに気付いたのだっけ。
僕の狂喜が目一杯に含まれていた、あの、普段の笑みに。
誰も疑うことなく、純粋なホホエミでしょう?と改めて問うことすら阿呆らしい、本当は危ないあの狂喜の沙汰に。
何時も浮かべていたのに誰も気付かなかったあの美しい闇に。
誰・・・?
だれ、ダレが。
嗚呼、"彼"だ。
そうだ、一目会っただけであっさりと見抜いてしまった"彼"だ。
「忍足・・・
愛してる、よ。」
唐突に、今までの思考をにシャットアウトして何故か僕はその言葉を紡いだ。
それに対して君は、
動じることもなく、ただ、手塚と全く同じ笑みを静かに浮かべただけだった。
そう、まるで、僕の気持ちを全て知り尽くしているような悲しい微笑み。
手塚も、忍足も・・・"彼"以外は皆同じようにそうやって泣きそうに笑うんだね。
辛そうに、それでも幸せそうに笑うんだね。
そう、僕が、そうやって笑わせてるんだよ。
きっと、絶対、これからも僕は君達にその微笑みを浮かべさせることしかできないんだろうな・・・。
望んでいるわけではないけれど。
でも、それでも構わないから僕を欲したのでしょう?
後悔など、今更遅すぎるとわかっているのでしょう?
さらに、それに気付いてまた絶望しているのでしょう?
「愛してる。」
またも急に呟かれた僕の声は、何に、誰に、向けたものなのだろうか。
けれど
最後に、閉ざした筈の思考の片隅に浮かべたのは、色素の薄い跳ねた髪・・・白い束縛を好み纏って誰とも違う優しげな笑みを浮かべた"君"だった・・・。
*****
『不二・・・。』
ひそやかに、儚げに、囁かれた声はーーー・・・
今瞳を閉じて心のまま
僕は君を想う
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