記憶のかけら


□訃報
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4月6日に亡くなった映画監督さん。




むかしむかし…



私が赤ちゃんだった頃。



母に抱かれて近所に買い物に出かけたある日のことです。



顔見知りのご婦人が、たいそう気に入ったらしく



あやしたり抱いたりしてくれたそうです。



そして後日のことです。



いわゆる菓子折りを手に、そのご婦人と殿方が家に訪ねていらしたそうです。



若い両親に手をついて頭をさげてから



私の事を映画に出演させたいという話をしたそうです。



赤ん坊ですから、映るだけなんだと思います。



どうしたものか分からない両親は、回りの人たちに色んな事言われて悩んだそうです。



大して詳しくない人たちに



「付き添いで行き来するのは大変」

「衣装代がかかる」など色んな意見にウンザリしてしまい



後日、仕方なく断ったそうです。



いま冷静に考えたら、なにもスターになるわけじゃないんですよ(笑)



ただアップで映るみたいなポジションだったらしいです。



「記念に一回だけ出演しておいたら良かったね」と笑える話です。



なんでも私を使うつもりで進めていたらしく、監督がたいそう残念がって下さったそうです。



このエピソードは子供の頃から何度も聞いていた話でした。



ですから偶然TVなどでご本人や作品を見かけたりすると



「この人か…」と確認していたんです。



全く記憶はありませんが、話した事も会った事もない「遠い親戚の叔父さん」みたいに



長い間、ずっと私の中にいた方でした。



ご冥福をお祈り致します。




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