この中に、貴女の気に入る場所があればいいのですが。まあ人各々、ですよね。
長き夢を渡るもよし、
道から外れてみるもよし。
たまには、ちょっと特殊な世界を覗くのもまた一興。
どうでしょうか。
お楽しみ、頂けましたかね?
ああそうそう、是非迎賓館にも御越しください。
素晴らしい作品が閲覧出来ますよ。
あぁ、作品に御手を触れるのはお止め下さい。盗作も、作品に傷がつくのも、私は好みませんから。
では、ごゆっくり。
え、まだ何か?
残念ながら、下部には何もありません。
ですが、折角来て下さったんです。
お土産として、つまらない話ですが――聞いてやって下さいな。
「もし。
明かりがなくて、道の先が見えずとも。
それは道の先がないわけではないし、先へ進めないわけでもない」
「でも、もしかしたら」
「ないかもしれないね。そこが、全ての終わりかもしれない」
「じゃあどういう意味なのさ」
「何かが終われば、始まる何かがあるってだけだよ」
パタンと本を閉じ、彼は口を開く事をやめた。
恐らく、まだ時ではないという意味だろう。それならばしょうがないか、と重厚な造りのソファから腰を上げる。
キィィと音を発て閉まる扉を背に、僕は部屋を後にした。
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