MAIN

□交わる温度
1ページ/1ページ


身も凍る寒さとは正にこのこと。帰りたい。早く暖かいベッドに帰りたい。


「寒い!」


叫んだ言葉は白い気体と一緒に溶けて消えた。見渡す限り白しかない。それはどこかにいる腹黒少年を思い出させる色。


「うわ、お前鼻真っ赤じゃん」

「ラビも人のこと言えないくせに」


ズズッと鼻をすすると、ラビは指先でキュッと摘んでバカにしたように笑った。摘まれた部分から伝わる手の冷たさに思わず身震いした。


「ラビ手が寒い」

「いや、そんなこと言われても…」

「そうだ!ねぇラビ」

「なにさ」

「火判やって」

「あははー。お前はバカさねー」


ラビは心底バカにしたように言ってきた。さっきと違って、本当に私をバカだと思ってる言い方。寒いといえば火だというのに。


「ラビはあたしにこのまま凍死しろっていうんだ」

「待て待て。んなこと誰も言ってねェっつうの!ほら、任務が終わるまでガンバレって」

「ちぇー」

「女の子はそんな事言っちゃダメさ」

「ラビはイジワルー。女好きのくせに私にはイジワルー。みなさーん、私は女じゃないそうでーす」

「お前!人聞きの悪いこと言うなよ!」

「知ーらないっ」

「ったく…ほら」

「!」

「…さっさと終わらせよーぜ」

サクサクと、雪を踏む音しか聞こえないし。相変わらず寒いし。それでも。


「………」

「………」

「えへへ…」

「…気持ち悪ィさ」

「………」

「………」

「ラビ」

「…へーい」

「あったかいねぇ」

「…だな」


交わる温度


(最初っから素直に言えよな)
(…ラビこそ)
((手を繋いでも良いですか?))








2010.12.25 SAKURA

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ