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□交わる温度
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身も凍る寒さとは正にこのこと。帰りたい。早く暖かいベッドに帰りたい。
「寒い!」
叫んだ言葉は白い気体と一緒に溶けて消えた。見渡す限り白しかない。それはどこかにいる腹黒少年を思い出させる色。
「うわ、お前鼻真っ赤じゃん」
「ラビも人のこと言えないくせに」
ズズッと鼻をすすると、ラビは指先でキュッと摘んでバカにしたように笑った。摘まれた部分から伝わる手の冷たさに思わず身震いした。
「ラビ手が寒い」
「いや、そんなこと言われても…」
「そうだ!ねぇラビ」
「なにさ」
「火判やって」
「あははー。お前はバカさねー」
ラビは心底バカにしたように言ってきた。さっきと違って、本当に私をバカだと思ってる言い方。寒いといえば火だというのに。
「ラビはあたしにこのまま凍死しろっていうんだ」
「待て待て。んなこと誰も言ってねェっつうの!ほら、任務が終わるまでガンバレって」
「ちぇー」
「女の子はそんな事言っちゃダメさ」
「ラビはイジワルー。女好きのくせに私にはイジワルー。みなさーん、私は女じゃないそうでーす」
「お前!人聞きの悪いこと言うなよ!」
「知ーらないっ」
「ったく…ほら」
「!」
「…さっさと終わらせよーぜ」
サクサクと、雪を踏む音しか聞こえないし。相変わらず寒いし。それでも。
「………」
「………」
「えへへ…」
「…気持ち悪ィさ」
「………」
「………」
「ラビ」
「…へーい」
「あったかいねぇ」
「…だな」
交わる温度
(最初っから素直に言えよな)
(…ラビこそ)
((手を繋いでも良いですか?))
2010.12.25 SAKURA