―天地を越えて― book

□標的18 進級
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雪斗と佐雪は3年の方へ。
んで、俺達は2年のクラス発表が掲示されている場所へと向かう。



「クラス、どうなってるんだろうな。」



『……さあ?』



夜紀は、すっかり学校に馴染んだようで、着ている制服は男子制服にすり替わっている。
いつ、注文したか訊ねたら、「3月の頭。」と答えた所から…2年になったら、男子制服で来るつもりだったらしい。
ツナとか、獄寺とかには既に本性バレかけだったからもう、これでいいと思う。
だって、もう隠す方が面倒じゃん。だから、さ。


2年生がかたまって集まる掲示板へと近寄り、俺達は生徒達の間から自分の名前を探す。
俺は………っと、今年もA組か。ん、ゲ……獄寺もかよ。あ、山本も一緒だ。
お、夜紀も一緒か。…ツナは、いない?………あれ、「絶対にツナと一緒のクラスにしろよ!」って恭弥に言ったのに…何で?
大体のことはさ……恭弥に頼めば実現すんだよ。代わりに…仕事が山積みにされたりすっけどよ。
それはツナに比べればどうでもいいくらいに軽い!!!  (←…変態? by夜紀


………それにしても、邪魔なデコレーション。



『夜紀、お前、A組だったぞ。』



「え、じゃあ、みんなA組になったっつーことか。B組にもC組にも名前、無かったし。」



『え………ツナは?』



「え………?」




 ・ ・ ・ 。






「うそーー!!俺、留年ーー!!?」





その時、バッと俺達はその声の発生源の方へと振り向いた。
そこでツナは頭を抱えていた。





『ツナ……』




恐る恐る、声をかける。
ツナはこちらを振り向き、俺の伸ばしかかった手を掴む。




「俺、俺、留年かもしれないよっ!!」



『落ち着け、落ち着け、それはない!それはないから落ち着け!!』




「つかまずお前が落ち着け。」




俺はツナの手を握り返し、言う。
それを見た夜紀が、冷たいツッコミが入った。俺達2人は手を握り合ったまま夜紀の方を向く。
そしたら、今度は冷たい目で見られる。俺が。
………こいつさ、ツナには優しい…つうか甘いっつうか……本人、それが当たり前。でも、いつもより厳しいぐらいだ………って。


…どこが?


俺はツナから手を離した。
夜紀が何かを指差す。




「ずっと気になってたんだけどさ、あれ、何だろう。」




指差す先には、あの先程の邪魔なデコレーション。
…確かに。あれ…何だろう。
俺は、そのデコレーションに手を伸ばした。それを取り外すと…下からツナの名前が出てきた。




『ツナの名前…あった。』



「よ、良かった〜!」



ツナは、とても安心したようで、ホッと息を吐いた。

……つーか。



『…恭弥に、この“内藤ロンシャン”とかいう奴を殺るように言っとかなきゃ……絶賛風紀乱してるし。』




俺はある方向へと視線を向けた。鋭く、睨むように。ツナは苦笑いを浮かべる。
進級しただけだろ…。何でそれだけに胴上げなんてしてんだよ。
ウザイその集団に眉を寄せる。自身をイライラさせるそいつらを…殴り飛ばしてこようかな…とか思っていたりする。


そのウザイ集団は胴上げをやめる。
俺は、さっさと行こう、と2人を促した。









「あ!沢田ちゃーん!」









………ちゃん?
夜紀が今にもそいつに突っかかりそうなのを押さえながら、俺は無視して行こうとした。





「はいは〜い、沢田ちゃん!
同じクラスになったのも何かの縁だね。お互いガンバローよ!」




「え、や…やっぱ…お…俺?」




ツナはしどろもどろに訊ねる。
チャラい格好がごくたまに見る雪斗……よりも酷いか。
雪斗よりも酷いチャラさに引きながら、俺は振り向いた。夜紀の頭をガシリ、と掴み、殴りかかりそうなのを押さえる。
…こいつ、多分、ツナに対して気安く話しかけたから、だな。




「…お前、トマゾの人間だろ。」




夜紀の口から出た言葉が、正確な理由……かな。
…全然的はずれ。つか、そういうこと。
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