―天地を越えて― book
□標的15 授業参観
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「今日は、授業参観ということで、」
そう、話し出す数学教師。相変わらず、暢気な人、って思う。
マイペース、とも言うのかな。
肩の力を抜けって…無理、かな。いつもどおりミスする様子のあるこの教師。
先にミスする、って宣言しちゃって…クラスが笑いに包まれる。
…それにしても、白虎の奴、ちゃっかり見に来てるし目立ってるし…。そして、その隣には朱雀……
…こいつらは、セットだから……いっか。…朱雀、お前も目立ってるんだよな………実際。だって…真っ赤だもん。
………あ、今、奈々さん入ってきた。ツナ……あからさま嫌、って反応してる。
……あ、今も、授業は進んでるから。
…誰に言った?とか……ツッコムなよ。
「じゃあ、この問題。
今日はあえて、数学の得意でない生徒から、当てていこうかな。」
……っと、なると、ツナとか山本とか…だな。
当たりそうに無くて良かった…。俺は机に頬杖を付く。
そんなこと考えてたら、山本が指名された。
「んじゃ、1/2あたりで。」
………山本、それ……
思いっきり勘じゃん。
…山本らしい、と言えば山本らしいけど。
まあ、その勘も正解で…山本に、勘、だから…山勘?
とにかく、冗談はよして……寝よう。
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起きたら、死ぬ気モードのツナがわめいていた。
「つ、ツナー……わ、わる…」
「黙れぇぇぇえええええい!!!」
………わめいてる、わめいてる…
いい加減にしようよ、ツナ。
寝てた俺が言えないけどさぁ………
俺、帰っていい…?あ、駄目だ、仕事ある。それに………授業中に授業参観だしなぁ…
みんな、ツナの気迫に押されがち。山本ですら、苦笑いを浮かべてる。
『なあ、ツナ………いい加減に…』
「黙れぇぇぇえええええええい!!!」
『なあ、ツナ…いい…「黙れぇぇぇえええええええい!!!」……つn「黙れぇぇぇえええええええい!!!」………(怒)』
ガタンッ、と揺れる椅子。俺は立ち上がって、ツナに近寄る。思い切り、足を振り上げ……
ツナの頭に垂直に勢いよく落とす。
ゴスッ、って、痛々しい音。
しかし、ツナはそれでも平気だった。だから、追加で一発、首の後ろに手刀を入れておいた。
崩れ落ちるツナの体を受け止め、自分の着ていたブレザーを着せると横抱きにして教室から連れ出した。
向かう先は、保健室。
保健室の扉を足で開け、中へ入る。狐目の前の椅子に座っていた。
狐は驚きもせず、ただ、ニコッと笑って、制服やらワイシャツやら入っているタンスに向かい、それを漁る。
俺は気絶しているツナをベッドに寝かせる。隣で、獄寺が寝ている。
「あら、ツッ君、どうしたの?」
隣で、獄寺の看病をしていた奈々さんが訊ねた。
『あ……ちょっと、色々…ありまして……』
…つーか、俺がやったんだけど。。。
狐は1セット、制服を持ってこちらへとやって来た。
「……1−A、ホント、大変ですね。また…あの方、ですか?」
『あぁ。』
俺は狐の持ってきた制服を受け取り、ツナにそれを着せていく。
「彼にも、困ったものですね。」
『………そう……だ、な。』
「………?」
妙に、切れの悪い返事を返してしまった。
俺は狐の方を向く。予想どおり、狐は首を傾げていた。だが、すぐにほほえみを浮かべる。
そうやって、ほほえむ狐につられて、俺も笑顔を浮かべる。
俺の中に残った疑問
それが何なのか、
俺にはわからない→おまけ