イナズマイレブン

□イナズマイレブン 春奈は弟
9ページ/12ページ

とりあえず、メガネが選曲した音楽で踊る舞台上のメンバー。
ここの練習にメガネは力を入れさせた。さりげないこだわりの場面ではある。
まあ、死ぬほど練習させられたのは、まったくと言っていいほど踊れなかった1年の数名だけだが。ちなみに円堂は従者役なので免除された。
これ、円堂が参加していたら完成しなかったとメガネは思っている。
そしてついに、佐久間が鬼道と踊る場面だ。この二人、やっぱり元は金持ち学校出身だけあって、踊りがうまい。
色んな意味で見せ場だとメガネは思っているし、気合いを入れて台本を作った。
で、華やかなドレス(デザインをして縫い上げたのはメガネと秋葉名戸の方々)を着た佐久間が登場。
ファンクラブのメンバーから歓声が上がる。あと、土門のシャッターの切るスピードが速い。

「なんと美しい姫だろう。どうか、私と一曲踊ってください。」

これは、鬼道のセリフだったのだが、なぜか源王とアフロディーがハモりながら、言った。
てか、そこで佐久間に跪くってどうよ。あまりの展開に佐久間は困り切って、おどおどしている。
これは、不味い。非常に不味い。
土門は写真を撮る手を休める事なく思った。
で、二人が馬鹿な真似をしたすぐあと、

「シンデレラの美しさに、隣国からやってきた王子たちも心を奪われてしまいました。」

と、春奈のフォローナレーションが入る。
でもって、やらかした二人を2階の特別席から眺めて、夏美は演目の所と、配ったビラのシンデレラの後に、小さく?マークをつけておいて正解だったと思った。
とりあえず、何らかの苦情が来てもそれでごまかせる。
でもって、春奈はあの二人に動きがあった瞬間、舞台裏に急いで引っ込み、ナレーションを入れていた放送部の子からマイクを奪い取ったのだ。

「美しい姫、どうか私と踊ってください。」

と、源王&アフロディー。
あの二人は後で叩きのめす。次なるフォローのナレーションを考えながら春奈は誓う。
とにかく、佐久間が恥をかかない様にフォローしなくてはいけない。
新たな使命感に春奈は燃える。

「美しき姫君、どうぞ私と踊っていただけませんか?」

これは、鬼道。
で、春奈が頑張れお兄ちゃんと声援を送りながら

「王子もまた、その美しいシンデレラに心を奪われていました。そして、シンデレラも初めて出会った王子に、心を奪われてしまいました。」

と、ナレーションを入れる。
でもって、鬼道に手を差し出された佐久間は本能的にその手を取る。
もはや、条件反射とか本能とかの状態なのが凄い。
でもって、それが悔しい源王とアフロディー。ただ、春奈は悔しいが、いつかは自分に対してそう言う反応をするようにさせたいと思っている。
前向きな考え方だが、いいのか?

まあ、何にせよ路線が元に戻り二人が踊るシーンにはいる。でもって、源王とアフロディーは半田とマックスが回収して舞台袖へと引っ込む。
しかし、二人の暴走がそれで終わるはずはなかった。春奈はなぜこっち側へ回収してこなかったんだと半田とマックスに心の中で悪態をつきながら、マイクを一端放送部員に返す。

「ああ、もう帰らなくては。王子様、さようなら。」

11時の鐘の音を聞いて立ち去る佐久間。
よし、この辺りまでは予定通り。
とにかく、あの二人が問題を起こしたりしないように願いながら春奈は劇を見守る。

で、シンデレラの魔法一回目が解けるシーン。ここでもう一度影野が出てくる。非常に不安だ。

「魔法使いのおばあさん、ありがとうございました。」

と、言って影野に頭を下げる佐久間。
仕草一つ一つにときめくファンクラブの方々。土門は、この録画した映像は確実に高値で売れると確信した。
でもって、カメラのレンズでずっと、ピンポイントで佐久間をとらえている。
最初の方に風丸と一之瀬を撮った以外はずっと、佐久間だけ撮り続けている。


「それは良かったわ。では、明日も舞踏会へ行かせてあげましょう。」

影野のセリフが、なんか、影野のイメージとかけ離れている。
一瞬、妙な寒気に襲われる会場。果たして、次の登場シーンも上手く行くのか?不安だ。

影野のシーンは終わり、意地悪な姉達と継母が帰ってくるシーン。
風丸と一之瀬が役にハマりまくっているのが気になるんですけど。そして、一之瀬がいつの間にか扇子を装備している。
あれって、小道具になかったような気がする。

「ああ、悔しい。」

と、染岡。ギャグ状態だ。

「一体どこのお姫様かしら?王子様を独り占めにするなんて!」

と、風丸。ハンカチ握りしめているのが余計にハマり具合をアップさせている。
てか、その予定になかった小道具はどうした。そう思いつつシャッターを切る土門。
ちなみにその小道具はメガネの差し入れ。
妙なピンポイントを付いている。

「シンデレラ、豆をより分けるのは終わっているのでしょうね?」

と、一之瀬。
迫力万点ですよ。てか、一之瀬と風丸ハマりすぎだろ。笑いとかを堪えながら土門は思った。

「はい、お母様。」

と、言って佐久間が皿を持って来るはずなのだが、途中で盛大につまずいで、皿の中身をこぼした。
ある種の緊張がサッカー部に走る。
でもって、舞台袖から春奈がフォローしろと目で、物凄く一之瀬に訴えている。
それに気がついた一之瀬は佐久間を扇子で殴りながら

「なんて役に立たないのかしら。」

と、なじり倒す。
途中まではとっさの演技だったのだろうが、妙なスイッチが入ったらしく、マジで扇子でど付きながら、なじり飛ばしている。
でもって、一之瀬に合わせて風丸と染岡も佐久間をなじる。
それを見て夏美はますます、?マークを小さく付けて正解だったと思った。
実際、サッカー部のメンバーでも?マークの存在を知っている奴は付けて正解だったなと思っていた。

とりあえず、佐久間がドジって、いらんシーンが追加されたが、それでも話を本筋に戻して、次の場面へと移る。

2回目の舞踏会へ継母達が行くシーン。
それが終わったら不安がいっぱいの影野のシーンだ。

たが、影野のシーンに行く前にまたしても佐久間がやらかした。
姉を送り出すシーンで佐久間が躓いて、風丸のドレスを破いてしまった。
またしても、一之瀬がフォローがてら佐久間を罵る。
でもって、ドレスはメガネが用意していた予備を着て何とかごまかした。
忙しいというか、やけに佐久間のミスが目立つ。

佐久間が柄にもなくミスを連発しているのは緊張しているのではなく、鬼道の王子姿が凛凛し過ぎて、色んな線が切れてしまったのだ。
おかげで、ミスばかりしでかす。
ま、一之瀬が機転とか、アドリブとか得意で良かったな。としか言えない。

で、またしても影野が出る不安なシーンになる。

「いい事シンデレラ、必ず12時までには戻るのよ。」

でないと、呪われますよ的なのが後ろに付きそうな影野。
絶対に魔法使いの人選は間違っている。でも、くじで決めたから仕方ない。

「はい。必ず12時には戻ります。」

と、佐久間。
ああ、なんて可愛いんだ。と、思うファンとか源王とか。
こいつら、本当にダメだな。もっともダメだと思われる土門は、シャッターを切りながら思った。

とりあえず、またしても城でのシーンに入る。

「ああ、美しい姫、今宵こそ、私と踊ってください。」

と、諦めずに乱入する源王とアフロディー。
誰か、止めろよ。
マイクを奪い取りながら春奈は思った。
また、佐久間をフォローすべく

「シンデレラの美しさが忘れられなかった二人の王子は、今宵もシンデレラを踊りに誘います。しかし、シンデレラは愛しい王子様の姿を見つけ、胸を高鳴らせます。」

と、ナレーションを入れる。
で、そこで春奈と連係プレーでもしているのかと言うぐらい、見事なタイミングで佐久間に近寄り、手を差し伸べる鬼道。

「姫、今宵も私と踊っていただけますか?」

と、鬼道。
やっぱり、無意識、本能で手をとる佐久間。

「は、はい。王子様。」

と一応、かろうじて記憶に残っていたセリフを佐久間は言った。

「今夜もまた、二人は夢のような時間の中で踊り続けます。」

と、春奈。
見事なアドリブです。反対側で見守っているメガネは思った。
で、アフロディーと源王はマックスと半田に回収される。
またしても、春奈とは反対側だ。これでは、あの馬鹿を今すぐにとっちめる事も出来ないし、また何かやらかしても、止める事が出来ない。
春奈はメガネに目で合図する。するとメガネは奥ヘ引っ込み、マイクを取って来た。何があっても対応できる状態だ。
次に、何かやらかしたら春奈は二人を問答無用で二人を叩きのめすつもりだ。

「しかし、ついに12時、10分前の鐘が鳴り響きます。シンデレラは、慌ててその場から立ち去ろうとします。」

で、佐久間が走り出す。くれぐれもこけるなよと一同は祈る。
さすがに、ここでこけたらフォローが大変だ。
で、何とかガラスの靴(秋葉名戸の人が作った一品)を落とすシーンになった。
しかし、セットの階段から足を踏み外す佐久間。ものの見事に足を挫く。ちょっと、ヤバいんじゃないですか?
そんな佐久間をフォローすべく、メガネが円堂を舞台へと突き飛ばす。
円堂は、必死の思いで、

「シンデレラ様、さあ、もうじき魔法が解けます。どうか、急いで馬車へ。」

と、言った。
でもって、佐久間に肩を貸す。とりあえず、急いで舞台袖に引っ込む。
で、鬼道はガラスの靴を拾う。
その間に、春奈は佐久間の足にシップを貼り、足首を固定する。

で、一度暗転して、魔法が解けて佐久間が泣き崩れるシーンに入った。
舞台の真中まで春奈が佐久間を抱えて行く。
春奈の動きがいつもより早い。
そして、佐久間を影野が慰めるシーン。
ちなみに佐久間は服のポケットに目薬を入れてある。いつでも泣けます。しかも片眼だから、楽だ。
土門はこのシャッターチャンスに命をかける覚悟の勢いだ。

「どうか泣かないで、美しい姫。」

なぜか、なぜか、影野の代わりにアフロディーが出て来た。
ちなみに源王は舞台袖でのびている。どうやらアフロディーにやられたようだ。
またしても、厄介な事になり始めた。春奈はあの馬鹿どうしてくれようかと思いながら見守るしかない。

「アフ、い、いえ、あ、あなたは?」

アドリブで頑張る佐久間。
果たして、どうなる?てか、誰か止めに入れよ。

「私は、ここより遙か遠くの国より来た王子です。」

うわ、この上なく王子って感じがする。動きは優雅だし、話し方もそんな感じだし、何より絵的に美し過ぎだし。
佐久間とセットになっていると美男美女のカップルに見えるな。
てか、何をたくらんでいる。

「運命に導かれ、私はあなたに会いに来ました。どうか、私の妃となてください。」

直球ストレートできましたよ。
サッカー部はあきれながら様子を見守っている。
誰か止めろよと春奈とは反対側のメンバーが言いあっているが、アフロディーの暴走を止めるなんぞ簡単に出来る訳がない。
でもって、関わるとろくな事にならないので出来れば、自分から近づきたくない。

「そ、それは、出来ません。」

何とか話を本筋に戻そうと断る佐久間。
てか、たとえ劇でもアフロディーの妃になるとか承諾したくない。
まあ、これが鬼道だったら喜んで承諾したが。

「何故なのです!」

「私は、灰かぶり。王子様とは身分が釣り合いません。」

何とか、セリフを考える佐久間。
心の中で、誰か何とかしてくれと泣いている。
でも、希望の綱と言うべき鬼道は王子なのでここで出たらそれこそ大変だ。
でもって、春奈はこの状況ではさすがに出る事が出来そうにない。

「そんなものは、関係ありません。それに、あなた程の美しい方は世界中を探しても見つからないでしょう。それほどまでに美しいあなたの前に我が国の者はすべて跪きます。」

と、アフロディー。
どうやったらそんなセリフがすらすらと言えるんだ。
てか、いつの時代の人間だよ。
物凄いドラマ的セリフを吐きまくるアフロディーに心の中でツッコミを入れる佐久間。
でもって、どうしたらこの場面は終わるのだろうと考えた。

「どうか、私の事はお忘れください。」

もう、この事態に泣きたい気分な佐久間は言った。
何で、アドリブで必死にならないといけないんだ。でもって、この状況を打開するすべが見つからなくて困り果てている。

「何故、そうまでして拒むのですか?」

と、言って佐久間の頬に触れるアフロディー。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ