イナズマイレブン

□大好きな幼馴染
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部活が憂鬱に感じる日が来るなんて、風丸は思っていなかった。
円堂と一緒にサッカーが出来て、円堂の生き生きした姿が見れる部活は大好きだったはずなのに・・・・・・。

『不味い、な。着替えの時に絶対にばれる。』

そんな事を風丸は思いながら、どうするか考えていた。
チャイムと同時にダッシュで部室にいけば何とかなるだろうか?それとも、部活が始まるギリギリに行こうか?
授業終了10分前。風丸はこれでもかって位悩んでいた。


「風丸、部活行こうぜ。」

と、授業終了後、最悪のタイミングで円堂が来た。
風丸は、お前はなんでそんなに空気が読めいない。てか、どこまでタイミングが悪いんだ!そんな事を真剣に思った。
そして、部活が終わった後にいかにして円堂から逃げきるかも考えなくてはいけなくなった。
円堂が部活に行こうと迎えに来た日は、100%間違いなく、部活の後に押し倒して来る。
ある意味で円堂が迎えに来るのが合図みたいになっている。
この調子だと、今日中に破局するかもしれない。
風丸はその場を凌ぐための(逃げるための)言い訳も見つけられず、引きつった表情で円堂と部室に向かう。

「あ、風丸先輩と円堂先輩。少し手を貸して貰えませんか?」

部室へ行く途中、春奈が二人に声をかけた。
風丸は春奈が救いの女神に見えた。

「どうかしたか?」

と、円堂。

「今日、どうしても会わないといけない人がいるんですけど、お兄ちゃんが絶対に邪魔してくるような気がするんで、しばらくの間、お兄ちゃんを足止めしておいてくれませんか?もしくは、監禁して置いてください。」

と、約半径100メートル以内にいる鬼道の方を見ないで言った。
昼休み、メールで幽谷を呼び出して会う約束をしたのだが、兄のチェックというか、監視の目がきつくて、一人で会いに行くのが非常に困難だったりする。
きっと、いや、間違いなく鬼道は、春奈が部活を休むとなったら後をつける。
で、何かと邪魔をする。あと、怪我人も出る。

「相変わらず大変そうだな。」

と、円堂が苦笑しながら言った。

「ええ。本当に過保護で大変です。」

と、春奈は頭痛がする頭を押さえながら言った。
豪炎寺以上に妹に愛情を注ぐ重度のシスコンの鬼道は、どこまでも周りにとって迷惑な存在だ。
特に、歯止めというか、別の過保護対象である佐久間がペンギン絡みで休みを取ると、その負担(?)は全て春奈に行く。

「分かった。鬼道は俺と風丸で足止めしておくから、頑張って逃げきってこい。」

と、円堂は言った。
風丸は、これで今日の部活は遅刻確定だなと、真剣に思った。
何せ、鬼道の足止めは、春奈が学校を出てさらに諦めるまで(大体30〜50分)の間しなくてはいけない。
とりあえず、今日の部活は他のメンバーだけで頑張ってもらうしかないだろう。

「任せました。最悪、縛って監禁してもいいですから、何としても足止めしてください。」

さり気に怖い事を言う春奈。
でも、それぐらいしないと鬼道を止めるのは難しい。
佐久間がいれば止めるのも楽になるのだが、生憎今日は、ペンギンが怪我したとかで休みだ。
てか、欠席理由がダメだろとか思うのだが、佐久間だしと大抵の奴は諦めている。

「じゃ、行ってきます!」

そう言って春奈は走って行く。
で、春奈の後をつけようとする鬼道のマントを掴んで止める円堂。
風丸と円堂は春奈の後を追いかけようとする鬼道を必死に押さえるのであった。

40分後。ようやく冷静さを取り戻した鬼道。
まったく、なんて迷惑なんだと思う円堂。
普段の風丸なら円堂と同じことを思っただろうが、今日は助かったなとホッとしている。

「ほら、鬼道。部活するぞ。」

と、円堂。
で、3人は走って部活へと向かうのだが、チャンスといわんばかりに風丸は全力で二人を置き去りにして、着替えを済ました。
前半戦終了。
次は、部活が終わった後の後半戦をどう乗り切るかだ。
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