捧げ物
□僕の可愛い半田君
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僕の恋人である半田は、休みの日になかなかデートをしてくれない。
それが僕には凄く不満なんだけど、半田は取り合ってすらくれないんだよね。
え?半田が休みの日にデートをしてくれない理由?
それはね、料理の練習をするから忙しと半田が主張するからなんだ。
まったく、料理の練習と僕とどっちが大事なんだか。あーあ、僕も円堂達みたいに普通のデートをしたいな。
「マックス。じゃーん。お弁当作って来たんだ。一緒に食べようぜ。」
と、お昼休みに乙女チックな事と発言をする半田。
可愛いんだから、もう。
あ、もしかして、料理の練習ってこの為だったのかな?もしそうなら、嬉しいかも。
でも、どうせならデートして欲しいな。
「半田ってば、ホントに乙女チックで可愛いね。もちろん食べるよ。どこで食べる?」
と、聞くと半田は
「乙女チックは余計!」
と、ちょっと怒りながら言った。
でも、可愛いって言われた事に照れてるのか、顔が赤い。
あー、やっぱり半田は可愛いな。
うん、もう、この初々しいリアクション大好き。ちょっと、気軽に可愛いって言っただけで、照れちゃうんだから。
つい、意地悪したくなちゃうんだよね。でも、半田はすぐに泣いちゃうから、あんまり意地悪できないんだ。
いや、まあ、泣いてる顔も凄く可愛いけど、やっぱり、笑ってる半田の方が好きだし、あんまり、泣かせたくなはい。
「と、とりあえず、屋上に行こう。あそこなら、人少ないだろ。」
と、少し周りの視線を気にしながら半田は言った。
あー、半田ってば、まだ、慣れないんだね。腐女子の獲物(?)を狙う目とか、男子の好奇の眼差しに。僕なんか、もう、慣れちゃったよ。
「じゃ、行こうか。半田の手作り弁当楽しみだな〜。」
と、言うと、半田が少し複雑そうな表情をした。
あれ?何でかな?
そんな疑問は屋上でお弁当を広げてみて、はっきりする。
まあ、ドジっ子の半田の事だから、多少はおかずを焦がしてるだろうと思っていたんだけど、まさか、お弁当の一部が消し炭に近い状態になってるとは思わなかったよ。
いや、でも、半田が作ってくれたんなら、絶対に食べるよ。
「い、一応、一人で作ったお弁当の中では、これでも会心(?)の出来だったから、持って来たんだけど、その、一部が・・・・・・。」
と、暗い表情の半田。
そんな顔しなくていいんだよ。
半田がお弁当作ってきてくれただけで嬉しいんだから。
「ちゃんと全部食べるよ。だって、大好きな半田の愛妻弁当だもん。」
と、言うと半田は耳まで真っ赤にしながら、ちょっとだけ俯いてしまった。
きっと、大好きって言葉に照れたんだと思う。半田は本当に初々しい子だから。
「マックス、その、不味かったら無理しなくていいから!」
と、言う半田。
僕はそんな可愛い半田が作ってくれたお弁当を食べてみる。
とりあえず、ちょっぴり焦げたたこさんウィンナーから。
ま、これで不思議な味がする訳もなく、半田が頑張って作ってくれたから、とっても美味しいって思う。
「半田、美味しいよ。」
と、横で7割が消し炭状態になったお弁当を食べている半田に言った。
なんか、半田が食べている方のお弁当を見て、確かにこれが半田的には会心の出来なんだっていう理由が分かった。
よっぽど苦手なんだね、料理。
でも、僕はちゃんと全部食べるからね。たとえ、放課後、部活中に倒れる結末になっても。
「ホントに?あ、でも、真っ黒に焦げた卵焼きとかは食べなくていいんだからな。」
あ、この黒い墨状態のって、卵焼きだったんだ。
なるほど、なるほど。一体何を焦がしたのかなって、思ってたよ。
というか、最初から焦げた物を入れなかったら、良かったんじゃないのかなとか思うけど、半田の愛情が籠ってるなら、僕は平気だよ!
たとえ、現在進行形で口の中に、焦げた物の味が広がってても、全然平気!!
「マックス!!ちょ、その危なげな卵焼きまで食べないで!!」
と、叫ぶ半田。
いや、危なげとか言いながら、食べるなって言うなら、最初から入れなきゃよかったんじゃないかな?
僕が半田の事大好きで、半田が作って持ってきてくれた物なら、ちゃんと全部食べるのぐらい分かるでしょ?
「半田、口の中が苦いから、口直しして〜。」
「え、あ、はい、お茶。」
と、水筒を差し出す半田。
ちがーーーう!!口直ししてって言ったら、キスでしょ!
お願いだから、空気読んで!!泣いちゃうよ!
「半田、口移しで飲ませてよ。じゃないと、苦いの消えないでしょ。」
と、言うと半田は、やっぱり耳まで赤くしてしまう。
可愛いんだけど、苦いから早くして。お願いだからさ。
「しないと、ダメ?」
「・・・・・・。佐久間師匠、半田を鬼道さんみたいな奴隷に躾けちゃってくださーーーい!!」
と、どこかにいるかもしれない佐久間に叫んでみる。ちなみに、佐久間は恋愛に関する僕の師匠なんだ。まあ、歪んだ愛情全開過ぎて、見てて面白いから弟子やってるだけだけどね。
で、僕が佐久間を呼ぶと半田が慌ててお茶を口に含んで、口移しをしてくれた。
うーん。お茶なのにすごく甘いし幸せ〜。あ、てか、佐久間の事呼んだけど、大丈夫かな?
ホントにバカな事やったりしないよね?
まあ、それはそれでありだけど、初々しい半田も好きだから、当分はこのままでいいんだよね。
「マックスのバカ!ホントに出て来たらどうするんだよ!!俺ヤダよ!鬼道みたいなの!」
と、泣きながら言う半田。
そんなに嫌なんだ。
「そこまで拒否するか?しかも、俺が楽しんでいる時に邪魔するかのごとく、騒ぐなよ。」
と、上の方から声がしたので、見上げてみると、佐久間がひょっこりとこっちを見下ろしている。
もしや、鬼道といけない事をしてる真っ最中だった?
そんな事を思っていると、
「マックス、場所移動しよ!変態が移る!」
と、半田が言った。
よっぽど佐久間が嫌いなんだね。
やっぱ、佐久間がこっちに来た当初、半端君って妙なあだ名を付けて呼んだ事根に持ってるんだろうな。でか、現在進行形で半田は半端君って呼ばれてるし。
あと、普段のアレな鬼道と佐久間を見てて、ドン引きしちゃってるんだろうね。半田って純情なところが多いから。
「お、逃げる気か?ま、その方が賢明だよな。半端君じゃ、どう足掻いたって俺の可愛い奴隷の鬼道さんみたいに相手を楽します事も上手にできそうにないし。」
と、半田の神経を逆なでする佐久間。
でもって、僕としてもそのセリフはむかつくかな。
だって、半田ってあんまり自分から積極的にはしてくれないけど、してくれたら、僕は凄く気持ち良くなれるわけだし。
しかも、頑張ってる感があって可愛いし。
「マックス、あの馬鹿見返したい!!」
と、佐久間を指さしながら半田が言った。
まあ、売られた喧嘩は買っちゃうよね。その気持ち良く分かるよ。
それに、俺も佐久間に見返してやりたいって思ってたんだ。半田は中途半端じゃないぞって。だって、一生懸命頑張ってくれるし、空回りしてる気はするけど、努力してるもん。
色んな意味で、色んなジャンルで。もちろん、サッカーも含むよ。
やっぱり、こういう時、僕たちは気がとても合うよね。
「お、俺と俺の可愛い奴隷の鬼道さんに挑戦する気なのか?受けて立つけど、負けるよ、絶対。」
と、自信たっぷりの佐久間。
てか、やっぱり鬼道の前に俺の可愛い奴隷って形容詞っぽい何かが付くんだね。
いや、もう、ツッコミ入れる気になれないから聞き流すけど。
「負けないからな!そうだろ、マックス。」
そこで俺に同意を求めちゃうんだね。
ま、求められたらやっぱり半田が元気に勢いづく答えを言うのが僕の仕事みたいなものだから
「もちろんだよ、半田。」
と、即座に答える。
うん、もう、完全に雲行きアウトだね。
ま、半田と気持ちイイ事出来るから、僕は棚から牡丹餅状態だけど。
「なら、今日の放課後は部活をサボって、俺の家で勝負な。逃げるなよ。」
と、佐久間。
すると、なんとか呼吸を整えた感がひしひしとする鬼道の声が聞こえた。
「練習をサボるな。」
真面目だね。
それってすごくいい事なんだけど、佐久間の前だと無意味というか、佐久間のいじめっ子根性に火を付けるだけなんだよね〜。
ま、僕には関係ないからいいけどさ。
「まだ、そんな事を言える元気があるんですね。じゃあ、もっと、愉しませて貰いましょうか。」
ああ、やっぱり、苛める気だ。
ファイト、鬼道。きっと放課後までには元気になれるよ。たくましい性格してるし。たとえ、この後すぐに泣かされて心を折られるとしても、きっと、鬼道なら乗り越えられるよ。
「半田!マックス!どっちでもいいから、このバカを何とかしてくれ!!」
って、必死に叫ぶ鬼道。
うわ、可哀そう過ぎるけど、佐久間と戦うなんてきつい事したくないから、僕は逃げるよ。
もちろん、僕の大事な半田も連れて。だって、半田に何かあったらいやだもん。
「半田、関わったら色々な意味で痛いから、逃げるよ!」
「おう!じゃ、鬼道、頑張れ!!」
と、言った感じで僕たちは逃げだした。
なんか、こう、鬼道がどうなるか考えたら良心が痛むので、あえて忘れる。
ごめん、あんなのと戦うぐらいなら、円堂に喧嘩売った方が1000倍マシなんだ。
多分、半田も同じ意見だと思う。じゃなきゃ、逃げ出したりしなかっただろうし。
ま、こんな感じで僕らは放課後に佐久間の家で妙な対決をする事になったんだ。
てか、これ、もしやの4P?いや、でも、うーん、そんな気配がひしひしとするなー。
半田、平気かな?怪しいよな〜。