捧げ物

□新婚生活しよう
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ある3連休の少し前。
円堂はとてつもなく有頂天になっていた。
それこそ、放っておいたら事故るんじゃないのかと見ていて不安になるぐらいの浮かれっぷりだった。
正直、何があったのだろうと周りが心配になるほどだったのだから、相当な物だ。
ただ、風丸だけは円堂が何故、そこまで浮かれているか知っていたので、少し複雑な気分になる。
そして、事の発端は一之瀬だった。




「風丸。ちょーっと実験台になってくれないかな?」

と、怪しげな飲み薬を片手に持った一之瀬が風丸に声をかけて来た。
風丸は、嫌な予感と言うか、ろくでもない事を企んでいるなと思ったので

「断る!!」

と、一之瀬の頼みを全面的に拒否。
すると、一之瀬は小さくため息をついてから、無理矢理風丸を押さえ込み、口の中に怪しげな薬を流し込んだ。
そして、それを飲んだ風丸は、特に何も起きなかった。

「ちぇ。失敗か。やっぱ、犬耳と尻尾を生やす薬は無理なのかな〜。」

と、言ってさっさとどこかに行ってしまう一之瀬。
風丸は、待て、そんな怪しげな薬を俺で勝手に実験するなよ。そんな事を言いたかったが、一之瀬はさっさとどこかへ行ってしまったので、結局は何も言えなかった。
まあ、それに何も起きなかったから、イイかと、事を軽く考え放置したのだ。





一之瀬の薬を飲んだ後。
風丸は、円堂を見た瞬間に妙にムラムラっとして、襲うか襲われるかして、円堂といちゃつきたいと言う訳の分からん衝動に駆られた。
そして、その衝動に突き動かされた風丸は普段なら絶対にしないのに、自分から円堂に抱きつき

「円堂。今度の3連休、俺の家に泊まりに来いよ。新婚生活疑似体験させてやるからさ。」

と、言ったのだった。
円堂が石化すること数秒。風丸の行動と言った言葉を理解して

「行く!絶対行く!!」

と、叫んで風丸を抱きしめたのだった。





そんな訳で円堂は有頂天になり、薬の効果が切れた風丸は複雑な気分になったのである。
でもって、薬が効いている間に母親を単身赴任している父親の所に行くよう焚きつけて、円堂が泊まりに来る間、二人っきりになる様にしてしまったのだ。
もはや、襲ってくださいとしか取れない状態を風丸は自分の手で作り上げてしまったのである。
そして、薬の効果が切れた時、何をしているんだ自分はと自己嫌悪にも似た何かに駆られたが、やってしまったものは仕方ない。
それに、あんなにも浮かれている円堂に今さら来るなとは言えない。
その為風丸は、本当に複雑な心境だった。
でも、真面目な風丸は自分の言葉に責任を持とうと考え、土門を連れて帝国に行き、怪しげな薬を売っている五条に

「羞恥心とか、恥ずかしいという感情が消える薬をくれ。」

と、言ったのだった。
それを聞いた瞬間に土門とか帝国サッカー部は全員石化した。
沈黙が流れること2分。
五条は鞄の中から怪しげな薬が入った瓶を取り出し、

「2万円になる。」

と、言った。
それに対して風丸は

「土門が支払うそうだ。じゃ、土門。支払いよろしく。」

と、言って薬を受け取り、さっさと帰った。
でもって、土門は抗議しよとしたが、普段から散々風丸で金儲けをしてるんだから、払えよと成神に冷たく言われ、しぶしぶ支払ったそうだ。
でもって、余りの風丸の行動に辺見が

「何があったんだろう・・・・・・。」

と、呟いたのだった。
しかし、それに答えられる物は誰一人としていなかったのだった。
そして、風丸と円堂の甘過ぎる3連休は幕を開ける。
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