捧げ物

□どうでるかな?
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授業中、何度目かのため息を半田はついた。
別に授業がため息をつくほど退屈な訳ではない。
ただ、最近恋人の一之瀬と上手くいっていないせいで、元気が出ないのだ。
まあ、元々自分と一之瀬とでは上手くいかないような気はしていた。
なにせ、一之瀬は超がつく天才で、可愛い幼馴染(秋)やら、やたら仲がいい幼馴染(土門)やらがいるし、女子にやたらと人気がある。
明らかに、平凡な自分とは住む世界が違う。そう半田は思っていた。
でも、好きだって言われて嬉しかったし、上手く行ってない現状でも一之瀬の事は好きだ。
だから、余計にウダウダと悩んでしまうのだろう。
女々しい性格だなとは思うが、どうしても半田には悩む以外の事が出来なかった。
そして

『やっぱ、俺って一之瀬の恋人に相応しくなかったのかな。』

などと暗い事をまた考えてしまい、また、ため息をついた。




『半田の馬鹿。』

何度そう思っただろう。
数えるのが嫌になるぐらい何度も思った。
俺は毎日10回も、大好きだって言ってるのに、半田は滅多に大好きって言ってくれない。
それに、押し倒したら抵抗してくるし、おはようのキスとおやすみのキスを請求したら恥ずかしいから嫌だって言うし、お弁当の食べさし合いしようって言ったら全面否定されるし、本当に付き合ってるのか怪しいとしか言えない。
俺、半田が俺の事、好きだって思ってくれているのを聞かされて嬉しかったのに、なんで恋人らしいことしてくれないんだよ。
本当に俺の事好きなのか、ちょっと疑ったりもしてる。
だから、半田が嫉妬心を抱くか試す事にした。
俺が土門と仲良くしたら、半田は妬いてくれるだろうか?
それとも、全然気にもしないだろうか?
もし、気にしてくれないんだったら、監禁してやろうって、心に決めてある。

そんな怖い感情を一之瀬が抱いていると知らない半田は、やっぱり、自分と一之瀬じゃ釣り合わないんだろうなと思うのであった。
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