イナズマイレブン

□先輩は俺のもの
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で、成神にとって待ちに待った土曜日がやって来た。
辺見と二人だけでいられると思うとすごく楽しみだ。寺門とかの邪魔ものもいないし、茶化して来る洞面もいない。
とりあえず、教科書とノートを持って、辺見の家へと行く。

帝国に通うのは金持ちばかり。でもって、辺見も例外ではない。
その為辺見の家も豪邸だ。もっとも、帝国で誰の家が一番でかいって聞かれれば、佐久間の家を見た事がある奴は口を揃えて佐久間の家と答える。
なにせ、ペンギン用のプールがあるし。
そう言えば、佐久間の兄が拾ってきたシャチのプールもあるらしい。まったく、日本の土地事情を舐めているのかと言いたくなる。

「辺見先輩、わざわざ外まで迎えに来てくれたんですか?」

と、門の前にいた辺見に成神は聞いた。
すると、辺見は

「ち、違う。その、どうでもいいだろ!さっさと上がれ。」

と、そっぽを向きながら言った。
もしや、猫でもわざわざ追いかけまわしていたのだろうか?
辺見がポケットに煮干しとまたたびと猫じゃらしを入れているのは知っている。
もっとも、辺見はそれを周りにひた隠しにしているが。

「さっさと上がれって言うけど、玄関まで100メートルあるよね〜。」

と、やたらと続く道を見ながら成神は言った。
もっとも、佐久間の家は玄関まで200メートルもあるから、まだ、辺見の家はマシだ。
本当にあの家は何かと疲れる。
成神は特に、佐久間の専属メイドさんは本能的に危険な気がして苦手だ。
何度か遭遇した事があるが、実に危険な気配がする。

「あのペンギン馬鹿の家に比べればマシだろうが。」

「いや、ペンギン馬鹿って言うか鬼道さん中毒だって。」

と、佐久間に面と向かって言ったらボールをぶつけられそうな事を二人は言った。
でも、二人が言っている事は間違っていない。

「確かに。あいつ、昔はもうちょっとまともだったんだけどな。」

と、辺見。
小学生の頃は普通の子供だった佐久間。まあ、まともだったと言っても鬼道さん中毒になってなかっただけに過ぎないが。
でも、今みたいに重度のペンギン愛好者ではなかった。それこそ、ペンギンなしで生きられないほどではなかった記憶がある。
いつから、佐久間は壊れたのだろうか?その辺があやふやだ。
成神は、辺見が佐久間の事をやけに詳しく覚えているのが気に入らない。

「ああ、そう言えばブラコンだったぞ。」

と、さらに付け加えた。
ブラコンが過去系なのは良い事だろう。でも、辺見がやけに佐久間の事を見ているようで気に入らない。
どうして、佐久間なのだろうか?どうして、自分を見てくれないのだろうか?
成神はちょっと、寂しくなった。

「ほら、着いたぞ。さっさと上がれ。」

そう言って玄関のドアを開ける辺見。
成神は寂しい気持ちを押し隠しながら、辺見の家へと足を踏み入れた。

辺見の部屋はこれと言って何かを置いている訳でもない平凡な部屋だ。
勉強机とテーブルとベッド、本棚には辞書がある。そんな超平凡な部屋だった。
でも、実際は隣に立ち入り禁止の猫部屋なるものが存在する。
そこがある意味で辺見の部屋とも言える。だが、あくまで猫好きは隠す辺見は、知り合いを絶対にその部屋に近づけない。

「殺風景な部屋ですね。」

と、テーブルの前に座りながら成神は言った。
でも、隣は猫グッズや人形や写真集でごちゃごちゃしている。

「別にいいだろ。それで、どこが聞きたいんだよ。」

と、成神の横に腰掛けながら辺見は言った。
成神は持って来た教科書とノートを広げつつ、適当にちょっと面倒な応用問題を指した。別に分かるから聞かなくてもいいけど、こうでもしないと辺見とべったり出来ないし、甘えられない。
多少の面倒と苦痛は諦めるしかないだろう。

「これか。・・・・・・なぁ。やっぱり、鬼道とかに聞けって。」

と、一問目から挫折した辺見が言った。
どうやら、見ても分からなかったようだ。意外にも難し過ぎたらしい。
成神はもう少し簡単な問題を聞くべきだったなと思った。
ある程度しかできない辺見に難易度が高過ぎる問題を聞いたのは失敗だった。

「なら、この問題はいいや。こっちの問題教えてくださいよ。」

と、言ってさっきより簡単な問題を指した。
これなら、何とかなるだろう。そう思っていると、辺見はまたしても頭を抱えてしまう。
どうやら、成神の予想以上に数学が苦手だったようだ。
これは、色々と大変な事態になるかもしれない。切実にそう思った成神。

「悪い。俺、鬼道とかみたいに数学得意じゃないから。」

と、辺見。
妙にしゅん、となっているのが可愛い。成神は押し倒したくなる衝動を必死に抑え込む。
でも、辺見が可愛過ぎて理性が飛びそうだ。

「じゃあ、基本問題中心に教えてくれよ。でもって、お茶ぐらい出して欲しいんだけど?」

と、成神。
でもって、ここでお茶を要求する所がちゃっかりしている。

「あ、ああ。なら、今入れて来るからその間に問題解いてろよ。」

と、言って辺見は立ち上がった。
成神はここの家のメイドは気がきかないなと思った。佐久間の家は言わなくても持って来る。しかも、コーヒーだけでなく、紅茶も用意してくれる。
本当によく出来たメイドさんだ。

「あ、俺コーヒーが良い。」

「置いてない。俺は紅茶派だからな。」

と、言って成神のリクエストを辺見は即座に却下した。
いや、置いてはあるけど入れるのが面倒だから適当な事を言っただけだったりする。

「ケチ〜。どうせ入れるのが面倒なだけでしょー。」

と、不満顔で成神は言った。
すると辺見は

「文句言える立場じゃないだろうが。」

と、言いながら成神の頭をグルグリする。

「痛い、痛い、痛い!辺見先輩、痛いよ!」

と、成神は言った。
でも、あんまり抵抗しない。
だって、痛いけど辺見に触れてもらえて嬉しいのだ。

「ったく。いいか、大人しく勉強してろよ。くれぐれも、勝手に部屋を物色するな。」

と、言って辺見は部屋を出た。
成神は辺見が出て行ったのを確認すると、色々と物色を始めた。
人間、物色するなと言われると物色したくなるものなのだ。
特に、好きな人の部屋となるとなおさら物色したくなる。
でも、ここの部屋には必要最低限の物しか置いていない。趣味の物とかは全て隣の部屋だ。
しばらくすると辺見が紅茶をトレイに乗せて持って来た。
成神は慌てて勉強していたふりをする。

「おい、お前今部屋の中物色してただろ。」

と、辺見。
成神は首を横に振る。

「お前は本当に人の言う事を聞かないな。」

と、あきれ顔で辺見は言った。
ま、別に変な物とかは置いていないし、大抵は隣の部屋に置いてあるので物色されても問題はない。
でも、やはり部屋の中を物色されていい気はしない。

「辺見先輩、紅茶なのにミルクとかないんですけど。」

「ストレートで飲め!」

「えーーー。せめてミルクは付けてよー。」

と、不満そうな声で成神は言った。
辺見はしばらく無視したが、余りにも成神がしつこいので、渋々ミルクを取りに行く。
で、成神は辺見がいなくなった好きに五条から貰った媚薬を辺見の紅茶に入れる。
余りきつい薬じゃないから、大した反応は起きないらしい。それでも、十分楽しめるはずとの事。
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