捧げ物

□夏だ!海だ!でも、いつもと変わらない!!
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「風丸、大丈夫か?」

「無理。死ぬ。」

「ごめんな。悪乗りし過ぎた。」

と、言って素直に円堂が謝って来たので風丸は少しだけ微笑んで

「謝るなら、元気になるまで何もしないでくれ。」

と、言った。
すると円堂は苦笑しながらも頷いた。
とりあえず、しばらくの間身の安全は保障されたな。そう思った。
でも、油断できないには出来ないので、今の内に体力回復を図る。
で、2時間ぐらい休んだ風丸は、だいぶ元気になった。
佐久間の方もほとんど復活したらしく、元気そうだ。
そして、風丸が元気になって来たところで円堂が

「な、風丸。泳ごうぜ。」

と、言った。
やけに普通だな。反省してくれたのかな?
そんな事を風丸は思った。
で、泳ぎたかった風丸は、泳ぐのにいると思った水中眼鏡セットを持って、笑顔で頷き、海へと走って行く。
円堂は無邪気な風丸に手を引かれて、走って海へと向かった。

「風丸、沖まで行き過ぎて溺れるなよ。」

と、沖に向かって泳ぎ出した風丸に円堂が心配そうに言った。
すると風丸は、

「平気だって。円堂も来いよ。」

と、言って円堂を誘う。
とりあえず円堂は浮き輪を装備してから風丸を追いかける。
なんと言うか、妙に子供っぽい円堂が可愛いなと風丸は思ってしまった。

「円堂、何で浮き輪を付けて泳ぐんだ?」

「だって、風丸が溺れかけた時にしがみ付く物がいるだろ。」

「お前って、心配性だな。」

「だって、風丸に何かあったら生きてけないもん。」

と、円堂が真顔で言うから風丸はつい赤面してしまう。
そんな二人の会話をこっそりと、泳ぎながら聞いていた佐久間(眼帯は着けたまま)は、ここら辺、励と優秀なメイドと執事がスキューバしながら全員を監視してるから、絶対安全なんだよなと心の中で思ったが、あえて何も言わないでおいた。
たぶん、今水中眼鏡を付けて海の中を覗いたら、人影が見えるかもしれない。
まあ、もしかしたら優秀な励と仲間たちの事だから、完全に気配と姿を隠しているかもしれないが。

「あ、でも、ちょっとだけなら溺れてもいいかな。人工呼吸できるし。」

「絶対に溺れないから心配するな。」

と、断言する風丸に少し不満そうな円堂。
そんなやりとりを聞いた佐久間は、溺れかけた後、息してないふりして人工呼吸して貰おうかなとかダメな事を考える。
でも、励とかが慌てて人工呼吸しそうなので、成功率は限りなく低そうなので断念する。

「ね、風丸。このサイズの浮き輪って二人は入れるんだよね。入ってくれたら嬉しいんだけどな。」

と、また、妙な事を円堂が言い出したので風丸はため息をついた。

「泳ぐのに疲れたら入ってやるよ。」

と、言って泳ぐよ言うよりは、水中眼鏡とシュノーケルを付けて、浮かび続け出した。
地味に水中を見続けるのは楽しい。
特に、魚とかを見つけると、おお、となる。
で、魚を探したりしながら水中を見ていると人影っぽい物が見えた。
硬直すること数秒。
見なかった事にして、浮かぶのを止めて泳ぎ始めた。
で、風丸が泳いで移動すると、円堂が後ろを付いて来る。
何となくそれが楽しい風丸はひたすら泳ぎ始めた。
なんか、後ろから付いてくる円堂が可愛くて、つい、調子に乗って泳いでしまう。
そんな二人を見た佐久間が

「アヒルの親子?」

と、呟いた。
佐久間の浮き輪に捕まっている鬼道(ゴーグルは着けたまま)はそれを聞いて、つい、噴いてしまう。

「確かにアヒルの親子だな。」

「ですよね。」

そう言って二人はしばらく円堂と風丸を観察する。
すると、途中で泳ぐのに疲れ始めた風丸が、円堂の浮き輪に捕まる。
で、何か5分間ほど口論した後に、風丸が一回潜ってから、円堂と密着する形で浮き輪の中に入った。

「アヒルの親子は止めたみたいですね。」

「だな。と言うか、一体風丸はどう言い包められたんだろうか?」

と、鬼道。
すると佐久間が

「風丸は円堂に洗脳されてるから、仕方ないんですよ。」

と、言った。
それを聞いて鬼道はなるほどと納得する。

「時に鬼道さん。この浮き輪のサイズも二人用なんですよね。」

「・・・・・・。そうやって、俺を誘うな。理性が飛んでしまう。」

「だって、鬼道さんが好きなんだから、仕方ないじゃないですか。」

と、佐久間が言うと鬼道は風丸と同じく一度潜ってから浮き輪の中に入り、佐久間の唇を奪う。
最初はしょっぱかったキスはすぐに甘い物に変わってしまう。

「続きは夜にしような。」

「はい。」

なんて甘いやり取りを二人が交わしている一方で円堂は風丸に痴漢行為をしていた。

「ば、馬鹿!何もしないって言っただろ!嘘つき!」

と、風丸は怒鳴るが、身体を弄ってくる円堂の手が止まる事はない。
しかも、妙に身体を密着させられているせいで、逃げられなくなってしまっている。

「ちょっとだけサービスしてくれてもいいじゃんか。最後までしようとかは言わないからさ。」

「円堂。お前と言う奴は、どれだけドスケベなんだ!」

「嫌な言い方するなよ。それに、スキンシップは大事だろ。」

「これは立派な痴漢行為だ!いつか訴えてやる!!」

「いやいや、何かされるかもしれないのを分かっていながら密着してきた風丸が悪いって。」

「お前が何もしないって約束したから、仕方なく妥協したんだろうが!!」

そんな口論をしばらくしていると、佐久間と鬼道がやって来て

「風丸、スイカ割りしようぜ。」

と、風丸を誘った。
すると風丸は

「いいけど、この痴漢を何とかしてくれ。」

と、言った。
すると鬼道が苦笑しながら円堂に

「約束を破り過ぎると嫌われるぞ。」

と、言った。
円堂はここで引かないと、風丸が機嫌を本格的に損ねそうなので、仕方なく風丸に触るのを止めた。

「まったく。で、スイカ割りって、この4人だけでやるのか?」

と、風丸が聞くと佐久間は

「他のメンバーは向こうでとっくの昔にして、スイカを食べた後だ。と言う訳で、俺らもやろう。」

と、言った。
なんか、裏切られた感がある風丸だが、こればかりは仕方ない。
それに、円堂が全面的に悪いので他の奴らを恨むのはお門違いだと言う事で、円堂を恨む。
こうして、この恒例の4人でスイカ割りをする事になった。
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