☆BLEACH☆

□過酷な選択
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朱音はそっと眼を開けるとぼやけた視界で見慣れた天井が映った。

「こ…こは……?」

寝ぼけた頭で記憶を辿る。そして冬獅朗のことや自分のやったことを思い出し朱音は勢いよく布団から起き上がった。

「冬獅朗!!…っ!!」

昨夜シャウロンに斬りつけられた部分が傷んだ。朱音は自分で自分の傷を治すことは出来ない。
昨日ほど痛くはないが突然の痛みに顔をゆがめる。
すると扉が開き朱雀が手に茶碗を持って入ってきた。

「朱音様、起きられましたか。よかった」
「朱雀…冬獅朗は!?皆は!?」
「冬獅朗様はご無事ですよ。安心してください皆さんご無事です」
「…よかっ…た…」

安堵の声が部屋に響く。朱雀は朱音の布団の横に座り手に持ていた茶碗をおいた。
朱音の表情がだんだんと変わり俯いてしまった。

「私…あの後…」
「…解放された力に呑まれ暴走しシャウロンを倒しました」
「………」

隠していてもいずれはばれてしまう。ならば今教えたほうが朱音のためだと思い朱雀は語った。
朱音は俯いたまま手に力を入れ、布団をぎゅっと掴んだ。

「私が…私のせいで冬獅朗を殺しかけた…」
「そ、それは違います!敵の言うことを真に受けないで下さい!!」
「違くない!!私がいたから冬獅朗は私を庇って死に掛けたんだよ!!
また!…また同じことを繰り返すところだった…」

弱弱しい声は悲痛の叫びが篭っていた。『同じこと』の意味を朱雀は知っている。
もう朱音と自分だけしか知らない、知られてはならない秘密の記憶。

「たとえそうだとしても、朱音様がいたから皆が無事でした」
「………」
「朱音様がいなかったら皆死んでいたでしょう」
「………」
「だからそんなに自分を責めないで下さい」

そっと朱音の手の上に自分の手を重ねる。朱雀の温かい手が朱音の心を癒していく。

「……朱雀…」
「はい?」
「…ありがとう」
「…はい」

朱雀は朱音の小さな言葉を聞き取り安心させるように笑った。
朱音もようやく顔を上げ朱雀の笑みを見た後、にこっと笑った。
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