☆BLEACH☆
□泡沫の記憶
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朱音が最後に言っていた言葉。
『…もし、次あった時、私が私じゃなくなっていたら、その時は……私を…殺してください』
あの時から、朱音はこうなることが分かっていたということなのか。
どっちにしろ朱音は殺してくれと頼んだ。それは朱音自身が誰も傷つけないようにという優しさからだった。
「……殺させねぇよ…」
冬獅朗は自分に言い聞かせるようにそっと呟いた。斬魄刀を握る手に力が入る。
『冬!』
もう一度、いや、何度でも名前を呼んでもらう。玲と朱音だけに許した呼び名で。
そのためならなんだってしてやる。なんだって出来る。
「約束、今果たすからな」
玲と誓った約束。
『朱音を守る』
向かってくる朱音を受け止め反撃していく。
一護も朱雀も手を出さない。冬獅朗の気持ちを配慮してなのか、手を出せないのか分からないが好都合だった。
「必ず…俺の声を届けてやる!!」
一振り、一振りが重い。何度も何度も朱音の名を叫び、刀を交え訴えかける。
何度も…何度も…
しかし、無情にも朱音は容赦なく冬獅朗を切り刻んでいく。
朱音を殺さないように手加減をしながら刀を振るう冬獅朗と、冬獅朗を殺す気なうえ感情がないせいか力がアップしている朱音。
どっちが有利なのかは一目瞭然だ。小さいが確実に冬獅朗を斬り付けていく朱音。
「ぐっ!」
頬に、腕に、足に…至るところから血を流す冬獅朗。
しかしそれでも冬獅冬が膝をつけることはなかった。肩で息をしながらもしっかりと立っていた。
倒れるわけにはいかなかった。ここで倒れたら全てがだめになってしまいそうだった。
「どうしたら…」
朱音を届かない声をどうやって届けるのか。時間はあまりない。冬獅朗は必死に頭をめぐらせながら朱音と対峙した。