□ILOVEYOU
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勝馬から逃げてきた俺は途中で会った教員に教えられた講堂に急いだけど

やっぱり式は終わりかけで入れなかった

「・・・マジかよ・・・」

こんな事になるなら親と一緒に行っておくべきだったな・・・

入学式に遅刻するなんて本当にツイてないな・・・

「スミマセン」

「・・・!!・・・はい」

前を向くと男の俺でも息を飲む程格好いい男の子がいた

さっきの栗色とは違い 髪は黒い
けど一回染めた事があるような黒さだ。だけどそんな不良そうには見えない

後は背が高くて顔が俺が出会った中で一番顔が良い

歯が光ってるピカーンって効果音出るってこれ

「もしかして、君 入学式出れなかった?」

「・・・まぁ・・・」

なんで分かるんだ・・・

「そうなんだ。あ、じゃこのプリントやるよ」

「えっ」

「入学式にしか配られないからさ」

「でも・・・え?今、式やってる途中じゃ・・」

それを持っているって事は式には出席したという事

だけど・・・なんで今講堂の外に出てるんだ?

「あぁ 俺はちょっと事情があって先に出させてもらったんだ」

「・・・へぇ」

「じゃ」

「あ・・・ありがとう」

男の子は片手を軽く挙げてそのままどこかに行った

「・・・誰だったんだ?」

あの親切な人は・・・

でもあれだけ格好良かったら、後々有名になるだろうし・・・

その時に名前を聞こう

そして俺はそのまま式が終わるのを待っていた






「拓也 式サボって何やってたの?」

「変なのに絡まれたんだよ・・・」

変な奴じゃないか・・・勝馬涼汰楼だ

・・・・あいつの失望した顔が頭から離れない

「拓也得意の足で逃げればいいでしょ!?なんでサボるかなー!?」

・・・煩いな・・・

「そうだ。それで講堂に入れなかったんだけど講堂から出て来た男の子がプリントくれたんだ」

俺は鞄から男の子から渡されたプリントを出して柚に見せる

「えっ?それ今日配布されたやつだよ」

「・・・・」

マジかよ・・・どれだけ親切なんだよ・・・

「あれ?拓也 今、講堂から出て来た男の子って言ったよね?」

「あぁ」

「・・・それ学年代表だよ テストで一位取った。
確か・・・あ・・・あ・・あー・・・ごめん名前までは覚えてない」

「・・・マジで!?」

「凄い格好良くて、講堂にいた女の子の歓声が煩いから出てもらったんだよ」

「・・・・」

そんな事があったのか・・・・!!

「っていうか外にいたの!?待っててよ!!」

「・・・で、何なんだよ 柚」

「無視!?何だよじゃないでしょ!?」

帰り道を一人で帰っていると 今年も同じ学校の 幼馴染の伊東柚に捕まって説教を喰らっている
長いんだよ こいつ・・・

「はぁ・・・そのスカートの短さどうにかしてから俺に説教しろよ」

太腿の半分しか隠れていない

柚は中学の時からよくスタイル?がいいと良く言われていた

確かにもっと肉付けた方がいい位細いし腰の位置も高いし、顔も小さい

一般的に言えば可愛い方だとは思うが、幼い頃から知っているからどうも思わない

「うっさい!!いいでしょ!?この長さが好きなの!!」

まだ寒いのにあんなに足腰冷やしていいのか・・・?

「ー・・・誰の為に足見せてると思ってんのよ・・・」

柚が何か言ったが俺には聞こえなかった

「え?何か言ったか?」

「何もないわよ!!そんな事より!!」

あぁ・・・また説教が始まった・・・

俺は半分以上無視した

「ホッッント聞いてないんだから!!」

「わかってんなら言うなよ・・・」

俺が柚の説教を聞くなんて年に一回あれば良い方だ

「八つ当たりよ!!」

「んな事エバっていうな!!」

「はぁー・・・」

「何だよ。って言うかなんで柚って城川にしたんだ?」

一般で一緒に受けて合格発表の時にも教えてくれなかったし

「・・・言いたくない」

「・・・本当に機嫌悪いな」

何なんだ?入学初日から嫌な事って・・・

イヤな女子でも居たか?

いや、でも柚は誰かとつるまないし・・

あ・・・そういう事か・・・・

「あぁ・・海風とクラス離れたってやつか?」

「そう!!嫌がらせかって!!」

「いや・・・わかってただろ?」

入学式前に登校日があってその時にクラス分けのプリント貰ってんだから

脱力しながら言うと柚は恨みがましい目で俺を睨みつける

化粧した目で睨まれてちょっと怖い

「馬鹿 ここは労わるとこじゃないの?だから馬鹿とか言われんの!!」

馬鹿連発してるのは柚だけどな

「拓也ー!!」

「はい、はい!はい!!」

本当に面倒くさい・・・・

「で、サッカー部は見てきたの?」

「・・・いや」

「今から見に行けば?」

「・・・・・」

「ほんとに「うるせんだよ!!」

俺は柚の言葉を遮れるように怒鳴った

柚の言葉を聞きたくなかった

「拓也・・・」

止めろ

その言葉が口から出てこなかった

「拓也・・・・」

俺は無理矢理笑顔を作る

「俺んちもうすぐだから一人で帰るわ 襲われんなよ」

「何言ってんのよ 馬鹿」


俺は走って走って・・・・

柚が言おうとしていた言葉を考えないように無我夢中で走った


俺はそのまま家に駆け込んだ

これ以上柚の言葉の先を考えないように







ー本当にいいの?
じゃ、何でサッカー推薦が来た学校にわざわざ努力までして入ったの?ー







これ以上柚の言葉を聞かないように

あの言葉を思い出さないように

これ以上あの悪夢を思い出さないように














ああああぁぁぁ やめろ!!やめてくれ!!

もう・・・・俺はサッカーをやめたんだ!!

だから・・・だから・・・!!

もう忘れさせてくれ お願いだから

もう出てこないでくれ

サッカーを辞めたんだから

サッカーまで辞めたんだから

もうお前らを裏切らないから

頼むから許してくれ・・・・
      
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