雨、晴れに隠れて
□2.
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「小川!小川 彩!」
「あ?」
「お前、毎回授業中眠りこけてこのまま中学卒業するつもりか?」
「うっさいな。」
「なんだと?」
「うっさいって言ったの。歴史なんて授業受けなくたって教科書見りゃわかるんだよ。」
いつもこんな感じ。授業中は寝てて先生に怒られて、だけど成績が良いあたしに先生は結局負けて開いた口からは言葉が出なくなる。
結果、こういうことの積み重ねであたしは怖い人という印象をみんなに与えてしまって、近寄る人がいなくなった。
お昼休み中に誤作動で火災報知器が鳴ったのも、自転車置場の自転車が全部倒されてたいたずらも、みんなはあたしのせいだと思っている。
そうやって一匹狼になった。
違うかな…。最初は友達が欲しかったけど、途中で諦めたんだ。
高校も諦めてた。瀬奈があたしの前で笑ってくれるまでは…。
高校に入ってもあたしの授業態度は相変わらず。机に突っ伏して寝ていたらやっぱり先生に怒鳴られた。そして相変わらず反抗をしたところ、クラス中が静まり返ってしまった。
みんなの目つき。明らかにあたしを恐れてる目。
これでいつも隣で笑いかけてきた瀬奈まで遠ざかったな、と思った。中学の時と何も同じような空気が息苦しくてまた机に伏せて寝たふりをした。
授業が終わってもあたしは机に伏せていた。
誰かが早足であたしの机の前に来て、足音はそこで止まった。