涙心

□02:思い出の恋心
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昼食の時間、あたしは美奈子と食べる事にした。本当は屋上がよかったんだけど人気だからってやめといた。

みんな屋上に行ったのか教室には誰もいない。



「聞いてたよ〜優菜!!」


美奈子があたしの机の上で弁当を開けた。



「何を?」

あたしは卵焼きを銜えながら言った。



「さっき丸井君と話してたでしょ?前の席まで聞こえたよ〜??」

少し顔を近づけてニヤニヤしてきた。



「…何かさぁ…丸井と話してると…イライラすんだけど」

そう言いながらあたしは、自分の弁当箱に入ったミートボールに箸を突き刺した。



「それは優菜の性格の問題なんじゃない?丸井君って別に嫌われるような事してないじゃん」

「でもね、何気に傷付けちゃってるんだよね〜アイツ。あたしその被害者だし」



その時何となく教室の入り口の方を見たら…。



「あれ?教室お前らしかいねぇのかよ」

「あ!!丸井君!!」

「………」



たぶんさっきまでトイレにいたんだと思う。教室に弁当を取りに来たんだろう。



「おいまだ怒ってんのか?優菜…じゃねぇ、若宮」



はぁ…しつこいな。



「怒ってなんかいませんー!」

「何だよ…あ、早くしねぇと!屋上で仁王が待ってんだった!!じゃぁな〜安城と若宮〜」

「うん!バイバイ!!」

「さっさとどっか行け」

丸井は教室から出て行った。



「前の席で聞いてたけどさ〜、今はもういいみたいだけど、優菜何でさっき怒ってたの?」

「いや、それは聞かないで」

「じゃいつか!」

「…たぶんね」





美奈子には言わなければいけないというときに言うつもり。有り得ないけど、またアイツに出会った時とかに。



その時までアイツとのことは、思い出として頭の中に残しておこう





Fin

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