涙心
□06:疑惑の恋心
1ページ/1ページ
「よっ、若宮。おはよ」
「え?!お、おはよ!」
「なんだあ?何テンパってんだよ」
「な、何でもないよ」
「あっそ」
…今日のあたしなんか変。
ただブン太に挨拶されただけで。
何でこんなに緊張してんだろ。
何だか、ブン太を見てると…。
「な、何だよ。見つめてきて。あ、もしや俺に見とれてた?」
「はあ!?んなわけないでしょ!」
「ちぇ、残念」
残念って何よ。
そんなこと言うと。
「……」
ほら、
また心臓が大きくなりだして。
あなたを目で追ってしまう。
「だっから何だよ!俺の顔に何かついてんのか!?」
あたしがあまりにもブン太のことを見つめてたもんだから、ブン太は顔を赤くしてきた。
「何でもないってば!」
「訳わかんねえ」
こっちだって訳わかんないよ。
何でブン太なんかにドキドキしてるのか。
だけど、この感覚にあたしは身に覚えがある。
まさかあたしが、コイツなんかに…。