涙心
□02:思い出の恋心
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『俺、丸井ブン太! シクヨロ☆』
と言われてから早くて1週間。このクラスにも慣れてきて、友達も結構できた。
美奈子とも仲良くしてるし、学校も意外と楽しいもんだなぁと思ったり。
でも今だに慣れないのは、あの人の隣の席だということ。
丸井ブン太
コイツは何というか……うるさい。馴れ馴れしい。それに元彼を思い出させる。
忘れられない…だけど一番思い出したくない思い出。
だからあたしは丸井が苦手。
授業中丸井は必ずあたしに話し掛けてくる。それもどうでもいい話題で。
「なぁ、お前って何部?」
知っても知らなくてもいい質問をしてくる。
「…帰宅」
「えぇ?お前受験とかどうすんだよ?内申下がるぞ!中卒か?それとも自分の頭脳に自信があるとか」
「別に、ここエスカレーター式だし」
「あ、そっか」
ここであたしは初めて丸井はバカなんだという事が分かった。