涙心
□04:秘密の恋心
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次の日の朝、教室に入ると当然のこと丸井から、
「お前何で昨日勝手に帰ったんだよ?」
と聞かれた。
そう聞かれたあたしは目線を横にずらしながらとぼけたフリをする。
「え?だって別に一緒に帰る約束なんてしてないじゃん」
そう言ったら「はぁ?」という顔をされた。
「そういうことじゃなくて、昨日お前が急に帰ってったから気になってよ」
「あー…と…」
そう言われたらもう誤魔化しは効かないよね。
「…それに、あの言葉も気になるし…」
「あの言葉?」
『しょうがないでしょ?あたしだってあんな事思い出したくて思い出してるわけじゃないんだから!』
「…あ」
あたしが昔のことを思い出してて思わず口にしてしまったあの言葉か…。何であんなにイライラしてたんだろ…。
自分でもわからないなんてね。
「そのことは…さ。気にしてても気にしてないフリしといて」
ニッと笑ってそう言った。
だけどその笑顔はどこか悲しげだって、自分でも気付いてた。
「言ってる意味がわかんねぇんだけど」
「とにかく!丸井には関係ないってことっ!!」
丸井の肩をポンッと叩く。
「あっそぉ」
一息ついてから椅子に座った。
きっとね、このまま丸井と毎日話していたら、仲良くなって、"親友"と言わずにはいられないほどの仲になってしまう。
嫌なわけじゃない。
だけど…そうなったら余計に"アイツ"のことを考えてしまいそうで……。せっかく忘れようとしている過去の恋心を手放したくなくなってしまう。
こんなことを考えてるってことはまだあたし…やっぱり…。