涙心
□05:ときめきの恋心
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この世には、どうして「運動会」があるのだろう。
それよりも、どうして「居残り」というものがあるのだろうか。
あたしは、居残り=地獄だと思っている。
それにブン太がプラスされたら……ああ恐ろしい…。
つまり、居残り+ブン太=地獄の中の地獄。
あたしは今、その地獄の中の地獄を味わっている最中だ。
「何でブン太と…。このクソう●こ…」
「クソもう●こも一緒だっつの!何なんだよ急に」
「別に…」
あーもう。よりによって何でコイツと居残り!?
宿題を忘れてきたわけじゃないんだよ?
ただ先生から「お前ら最近ふざけすぎ!バツとして今日は居残りだ!」なんて言われてさ。
確かにあたし、3年生になってからちょっとふざけすぎかもしれない。
でもそれはブン太がいちいち話しかけてくるからであって、あたしのせいじゃない。
もう…。勘弁してほしいよぉ〜。
「あー、何で俺がコイツと居残りなんだよい」
「それはこっちのセリフ」
「今頃みんなは運動会練習してるんだろうな〜。勉強するより動いた方がマシだよ」
「俺も思う〜」
もうすぐ運動会ということもあって、今日から部活前に1時間運動会の練習をすることになった。
しかしあたし達は1日目からしてこのザマ。
お恥ずかしい…。
「あ、てかブン太。リレーのアンカー決定オメデトー!!」
「その話やめろよ。テンション下がる…」
と言ってブン太は頬杖をついた。
「まあまあ。美奈子だって応援してたじゃん」
「うれしくねーよい」
「ひどー」
「じゃあ…、若宮も応援してくれよ。そしたら俺、頑張れそうな気がする…」
「…は?」
何、いきなり。
そんな真顔で言われても…。
「そりゃ、応援はするけど…。そんな変わんないと思うよ?」
「いや!変わる!!」
「……」
そんな風に真っ直ぐな瞳で言われると、余計に思い出す。
"アイツ"を…。
どうしたら忘れられるかな。
だからブン太と二人は嫌いなんだよ。
絶対に思い出してしまうから。
あたし、過去のこと引きずりすぎだよね?