涙心
□03:放課後の恋心
2ページ/5ページ
「「キャ―――――!!」」
「「仁王せんぱーい!!」」 「「赤也くーん!!」」
コートの周りを、女子達が隙間のないくらいずらっと囲んでいる。
「うわぁ…すんごいギャラリーだわ〜」
「ここ…テニスコート?」
あたしは男テニの部活を見るのは初めてだ。やっぱ噂通り、男テニのファンは多いんだね。
そういえばあいつも男テニだよね?
「どう?天才的ぃ?」
そんな声が聞こえた。
自分で天才って言うなんてバカじゃないのと思ったけど、後々考えたらこの声って…。
「「キャー!!丸井くーん!!」」
やっぱり…。丸井が言ったセリフだったか。ふ〜ん、丸井でも人気あるんだ。
「キャー、丸井くん天才的ー!!」
と言いながら美奈子は持っていた鞄を放り投げてコートへ走って近付いていった。
あたしも1度溜め息を着いてから美奈子の所へ走って行った。
「決まりぃ♪妙技綱渡りっ!」
「「キャ―――!!可愛い―――!!」」
…天才だっていうのは…ちょっと認めてあげるよ。
「丸井君凄いな〜。しかも可愛いしっ」
両手を胸の前で合わせながら美奈子が言った。
周りからのキーキー声であんまり聞こえなかったけど…。