そのた
□表裏淡い桃色
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「またスリザリンのズッコケ三人組か」
前方に見えた三人組を発見するや否や挑発するように声をかける。
ついさっき、午前中も一回ひと悶着あったハリーとロンも彼らを見るなり身構えた。
「何だ、またお偉いポッターとその取り巻きどもか」
「うっさいデコスケ」
ハリーたちより一歩前に出てドラコの真正面に立つ。
彼の形のいい眉が顰められ、口元がきゅっと結ばれた。
「お前はいつも突っかかってくるよな、バカで喧嘩っ早いグリフィンドールめ」
彼の態度はでかいけど、全然威圧感はない。
「うっさいデコスケ」
「それしか言えないのかお前、もうちょっと言葉の勉強をして語彙力つけたらどうだ?」
そんな、彼の癖みたいなせせら笑いも、全然嫌じゃないしつられて笑っちゃいそうになるからいけないの。後ろでドラコに嫌味を言うハリーたちの声こそ無粋に聞こえるくらいに。
「うっさいデコスケ、ハゲろ」
「女のくせにお前は本当に口が悪いよな!」
「ハゲスケどっかいけ!」
「ハゲてないだろ!」
こんな口喧嘩はいつものことで、顔を合わせるたびこんな感じに大声でいがみ合っている。
そうするとそろそろ頃合いを見計らったかのようにハーマイオニーが言うのだ。
「名無しさん、こんなのに構ってる暇が惜しいわ、行きましょ」
ちょいとローブを引っ張られ、私はこくりと頷いた。
「フン、僕らだってお前ら何かとの下らないやり取りのせいで時間を潰してる暇はないんだ」
ドラコは腰ぎんちゃくの二人を従えて私たちを押しのけるようしてに歩いていく。
私は先に駆け出すハリーたちに数歩付いて行ったあと、ちらりと振り返ってみた。
…彼と、目が合った。
「何してるんだ名無しさん、遅刻するぞ!」
「ごめんね、すぐ行く」
そんな、視線が絡まったたかだか一秒か二秒、それだけを大切に今日残りの授業も頑張ろうだなんて思うと自然に口元が緩むくらい。