ジョジョ暗チ中心夢
□とてもかなしいゆめをみた
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隣の彼を起こさないようにゆっくり起き上がって、目をごしごしこすって。
それでも脳裏から、断片的な夢の端っこが離れない。
軽く握った拳でこんこんと頭を叩いても、まるで現実のようだった夢が頭から出ていかない。
「朝から何奇怪な行動をとってるんだい?」
それが楽しいなら俺も混ぜて、と笑いながら起き上がった彼は私の額に朝一番のキスをした。
彼の長い髪が肩に当たって、ほんの少しくすぐったかった。
「…とてもかなしい夢をみたの」
「へぇ?どんな?」
メローネは聞く気があるのか無いのか分からないけど、額から頬へ、頬から首筋へ唇を移動させながら訊ねる。
「それは、よく思い出せないけど」
「それじゃかなしかったかどうか分からないじゃないか」
昨夜付けられた紅い印をなぞるように舌を這わせる彼は、そう言って上目遣いに私を見た。
性癖とは全くかけ離れた澄んだ目で見つめられると、少しだけ夢を忘れた気がした。
「うん…そうなんだけど」
「名無しさん」
囁くように名前を呼ばれたと思ったら、メローネが抱きついてきた。
「名無しさんを悩ませるようなそんな夢、俺が忘れさせてやろうか?」
「え?」
そして頭がくっつくくらいの近距離で、彼はにっと笑う。
「朝から元気で困ってるんだ」
太もものあたりに妙な感触を押し付けられて、それが何だか気付いた私は急激に顔が熱くなるのを感じた。
「なっ…この変態!」
「それはどうも」
―それは忘れた夢なのか、忘れたかった夢なのか。