ジョジョ暗チ中心夢
□Intersect at...
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これだからイラだったフリしてたのによぉ…。
名無しさんに深く口付けながら、俺は心の中で毒づく。
三日会えなかっただけでこんなに名無しさんを愛おしく感じるなんて、どうかしてる。
それを隠したくてイラだった態度とってたって言うのに、こいつがあんなこと言うから悪い。
…抑えられるものも抑えられなくなっちまう。
名無しさんの逃げる舌を追い絡めるように舌を動かすと、重ねた唇の隙間から甘い声が小さく聞こえた。
最初は緊張しているように固くなっていた体も、今では抵抗を見せる気配がない。
暖かくて柔らかい体も、シャンプーの香りがする髪の毛も、いつの間にか俺の体に回されていた腕も…興奮材料にしかならない…。
名無しさんの感情を無視して求めそうになる俺の理性を振り絞って、唇を離した。
長いキスに潤んだ目で見つめられて、また俺の心が暴走する前に俺から目を離す。
しゅんしゅんと、湯が沸騰する音だけが聞こえる。
「…湯、止めてくる」
ぼそっとそう言って、名無しさんの体を離した。
これ以上あの目で見られたら、マジでもたねぇ。
「あ、いいよ、私が…」
「…お前は、」
続いて起き上がろうとした名無しさんの肩をどんと押す。
強く力を込めたつもりはなかったのだが、きゃ、と小さく声を上げてソファに倒れる。
やめろよ、それすらも俺を昂らせる。
「俺が湯を止めに行ってる隙にこの部屋から出て、さっさと寝ろ…でないとマジで襲っちまうぞ」
あークソ、情けねえ…。
俺はぐしゃぐしゃと頭を掻きながら、名無しさんに背を向けた。
本当はあのままむちゃくちゃに抱きたかった。
例え名無しさんが嫌だと泣いても。
…だけど俺がここに戻った時のあいつの笑顔がふと脳内をよぎった瞬間、その気持ちは掻き消えた。
そんなことをしたら、もうあの笑顔を見られなくなるんじゃないかと思ったら躊躇った。
俺らしくもねぇ。
いつもは激情にまかせて動くのに、あいつのことになると途端にそれが怖くなる。
俺は舌打ちをしながらコンロの火を止めた。
しかしコーヒーを飲む気にもなれず、結局湯はそのまま流しに捨てた。
あいつが見たら、せっかく用意したのにとか何とかぶつぶつ言いそうだ。
だが俺がコーヒーを飲んだ飲まなかったかなど、あいつには知る由も無いのだ。
…あいつはもう、自分の部屋に戻ってるはずなのだから。
用意されたカップやコーヒー粉やなんかを乱暴に片付ける。
「…あの、ギアッチョ…」
背後から控えめに聞こえてきた声に、耳を疑った。
俺が振り返る前に背中からぎゅっと抱きつかれる。
「こ、コーヒー飲まないの?」
「…飲まねぇ」
こいつは本当に、俺がどういう心境か分かってないのか?
さっきの俺の言葉は冗談だと思ったのか?
「お前なぁ、さっき俺が言ったこと聞いてたか?聞いてなかったなら、」
「き、聞いてた!聞いてた上で…その…」
微かに震える名無しさんの声色に気付いて、俺の欲求がまた燃え始めるのを感じた。
この感情が燃え広がったなら、俺が理性を保つことなど到底出来ない。
「私…ギアッチョに…」
「クソッ!お前が悪いんだからな!」
名無しさんの腕を解いて向き合うなり、頬を真っ赤に上気させて目を見開くアリスを横抱きにする。
…もう止められそうにもない。
けれど名無しさんがふと笑みを見せて俺の服を掴んだのを見て、結局俺はさっきの我慢に意味などなかったのだと悟った。