ジョジョ暗チ中心夢

□かっこつけのふり
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お気に入りのメロディが私に着信を知らせる。その歌を口ずさみながらポケットの携帯電話を取り出しディスプレイを見てみると、メローネの番号。
ロクな要件じゃないんだろうなぁと頭を掻くけど結局出てやることにした。

「ハイハイ何でしょ」

「…名無しさん…か?」

電波が悪いのか、聞こえ難い。耳に携帯電話をぎゅっと押し付けて答える。

「どしたの、緊急?」

「…ああ…、よく…聞こえな…」

それにしても不安定すぎる。それにメローネの声自体も途切れ途切れに聞こえる気がする。
こんな世界にいれば絶えることのない『嫌な予感』がじわじわ脳を痺れさせていく。

「何よ早く要件言って、私暇じゃないのよ」

彼は今日どこに仕事って言ってたかしら。そんな難しい任務じゃなかった気がするけれど。何でどうして、油断でもしたのか。早くリーダーに連絡すべきか。
頭の中は沢山の疑問や選択肢でいっぱいだったけれど、虚勢を張って声は気だるげに苛ついたように作る。

「…死にそ…なんだ…最後、に…アンタの声…」

「うっさい!さっさとくたばれ!!」

耳から離した携帯電話に大声で叫ぶ。クラッと眩暈がした。

大きく息を吸って、吐く。電話を再び耳元に持っていく。

「…どう、聞こえた?私の声」


「なるほど、名無しさんは俺の死に際はそんな風に励ましてくれるんだな」

いきなりクリアになる音声。雑音も消えて、向こうのメローネも元気そうに聞こえる。

「…ほんっと、あんたは暇ね」

最初から悪ふざけだって分かってたよって言い方した。でも本当は死ぬほど安心してる。

「名無しさんはいつデレてくれるんだい?」

「メローネ大好きよ愛してる。これでどう?」

あんたのせいでひねくれたのに、そう簡単に素直になってたまるか。
そんで今の悪戯でまた疑心暗鬼になったんだから。

「泣いて心配してくれるかと思ったぜ」

「次はそうしてあげる、だから早く死にかけなさいよ」

きっと本当にメローネが死ぬとき、私は何も知らないままなんだろう。そういえば最近会わないわねと思ってたら、いつの間にか彼は死んでいるんだろう。
こんな電話かかってくるうちは、まだ大丈夫なんだから、だから手の震えおさまれ。

「なあ名無しさん、セックスしよう」

「はあ?」

「名無しさんを泣かせたいんだ、無茶苦茶にして」

「死ねったら!」

通話終了、携帯電話へし折った。
感情がぐちゃぐちゃになりすぎて暴発した矛先は飄々としたメローネの声を聞かせるその機械だったから。

私が私を許したら、メローネの為に死なないでよどこにも行かないでよと泣くことが出来るけれどそんなことしてやらない。


私は格好つけるのに必死なんだもの。


「かわいい女でしょ、ホント私って」


だけどたまにはあんたとセックスして泣いてあげようって気になったフリしてあげるわよ。

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