ジョジョ暗チ中心夢

□青い恋でいいじゃない
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「おい、聞いてんのかって」

耳元でそう言われてはっと気付く。緊張でちょっと意識が飛んでた、勢いよくぶんぶんと首を縦に振ってもちろんと言った声が裏返るのが恥ずかしい。
目の前にはテレビ。その手前、私の胸の前らへんにはコントローラーを握った手。後ろから抱きしめられるみたいにされて私はそれらを見ている。

「見てて面白いか?これ一人用なのによ」

「うん、見たいって言ったの私だし、私じゃクリアできそうにないから見てるのがいい」

初めて来たギアッチョの部屋は思ったよりもさっぱりしててきれいで…それで、ギアッチョの匂いがする。いつもこの部屋でこうやってゲームとか、課題とか、本読んだりとか色々してるんだとか思ったらドキドキが加速して顔を赤くしたりにやけそうになるのを必死にこらえたりで忙しい。

「…ならいいけどな」

頭頂部にこつんと何かが乗っかる。位置的にそれがギアッチョの顎だろうなと分かって小さくひゅっと息を吸った。
体がくっついてて体温が伝わってきて呼気まで感じ取れるみたいで、体中の感覚がギアッチョを意識してる。

「お前今日大人しいな」

「そ、そんなことないもの!」

いつも言いたいこと隠さずぎゃんぎゃん言い合ってるのに、こんなので緊張してるのは何だか恥ずかしくて慌てて虚勢を張る。
ぺちんとギアッチョの膝を叩いて早くクリアしてみてよと理不尽なことを言ってみたり。するとふっと息を吐くのが聞こえて体が小刻みに震えた。

「お前、緊張してんのかよ」

ちょっと馬鹿にするみたいに長々笑ってるからまた膝を叩いたら反撃するみたいに顎で頭をごつんとやられた。

「はっ、はあ?そんな訳ないですし!おすし!」

「何言ってんだ」

「もう、うるさい」

テレビの中のキャラクターがダイナミックに必殺技を決めて黒い強そうなの倒したら、カシャカシャとカウンターの数字が増えてセーブ画面に。そしたらいきなりギアッチョがコントローラーを落として私に腕を巻きつけてきた、のかと思ったら右腕は緩く首を絞めているので苦しい。

「お前ずっと体かてえし縮こまってるし照れ隠しみてえにいきなりうるさくなるし」

「そういう日もあるの!」

じゃれてるみたいだけどさっきより密着度が上がって内心パニックってくらい心音が激しいと思、う…

「ぎゃん!」

「色気全くねえ声だな」

ぱくぱくと口を開閉して、叩いたり暴言を吐くのも忘れてしまったのはあまりに予想外な攻撃をされたから。
首を真下にやる。胸の上に手がある。どうして?誰の?そんなの決まってる、ここには私とギアッチョしかいません。

「な、な、な、何で!」

出てきた言葉は拒否でも無く罵倒でもなく何故か理由を尋ねるものだった。別に理由が知りたいわけでは無いけど真っ白な頭で咄嗟に出た言葉がそれだったから。

「期待してんのかと思った…へえ」

「っ、ちょ、ぎゃああ!やめ!!」

いきなり好奇心100%の手つきで胸を揉まれたものだから逃れようと咄嗟にじたばた暴れる。と、ギアッチョの顎に頭が当たったらしくくぐもった声が聞こえて手が止まる。

「…ごめん」

「意外にあんのな」

「変態!謝って損した!」

くつくつと笑い声が聞こえて腹立たしい、いつの間にこんなセクハラ覚えちゃったのギアッチョは。きっとメローネのしわざだ、あいつがギアッチョに変なこと教えたんだ。
思い切り手を抓ると悪かったと言って頭をぽんぽんと撫でられた。その手はそのままコントローラーを掴んで、目の前のテレビの画面が切り替わる。

「初めて好きな奴が部屋に来たからってがっつくほどガキじゃねえから安心しろって」

「うん…」

そんないきなりクールになられても困る、こっちはまだ体中熱くって仕方ないってのに。
それからギアッチョはゲームに集中しちゃって、しばらく激しいボタンの連打音っは続く。画面の視点は目まぐるしく切り替わ

って素人の私には何が起こっているのか全然分からない。

「…いい感じだった?」

「…んあー?」

少し落ち着きが戻ってきた私はギアッチョに体重を預けるように後ろに寄りかかった。

「揉み心地」

にひひと笑って尋ねるとギアッチョがいきなりごほごほと咳き込んだ。さっきと逆、今度は私がからかう番なんだから。


「てめーな、調子乗ってっと襲うぞ」

「ギアッチョは優しいから私がやだって言ったらやめてくれるもん」

「…嫌か?」

「えっ」

「ばぁーか」



(青臭い関係だって幸せだからいいの。下らない口げんかしながらゲームして、まだそんな子供みたいな恋でいいと思うの。)

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