*短編・中編*
□LOVE YOU!!
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「…好き」
「あぁ」
「好き好き」
「…あぁ」
「大好き!」
「…聞こえてる」
「……もう!」
不毛なやり取りに先に折れたのは私の方だった。
…それはまぁ、当然なんだけどさ。
だって傍から見たら私なんて、読書中の彼に鬱陶しく話し掛けるウルサイ女だもの。
私はいじけたようにため息をついて、唇を尖らせながら彼を横目で睨む。
これも構ってもらいたいが故の行動だったりするのに、若は私なんて気にも留めていない様子で視線を本に落としたまま。
私は、今度は心からがっかりのため息をついて、若から目を背けるように視線を膝元に傾けた。
「…怒ったか?」
そんな折、若はふと私に訪ねた。
「怒ってないけど、落ち込んだ」
私は俯いたまま答える。
何だか空回りしたあげく、そんな心配をされる私はとても惨めに感じた。
「悪かったな」
ぽん、と頭に手を置かれて、そのまま軽く撫でられる。
わたしはうぅと小さく唸るような声を出して、じっとしてた。
と、言うよりどんな反応をしていいのか分からなかった。
「ずっと無視してたらどんな反応するか、見たかった」
「なっ…!」
私が頭をあげると、うっすらと笑う若の顔が。
「このひねくれもの!」
どうしてこんなに意地悪なんだろう、どうしてこんなにひねてるんだろう。
私はそんな風に心の中で愚痴をこぼしたが、体は既に若に抱きつこうとしていた。
…何だかんだでこんな若に惚れてるんだ、私は。