ジョジョ暗チ中心夢
□愛してるとは言わない
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机の上のごちゃごちゃした飲み散らかしの残骸を片付けようと手を伸ばしたけれど、ぐらついて缶を2、3個倒してしまったので途端に面倒くさくなってため息をついて頭をぐしゃぐしゃと掻いた。こんな状態で今から仕事だなんてやってられるのかしら、ほんとに。
「リゾットも、大丈夫なの?」
出てきた声は低く掠れていて、それが私の全てに対するやる気を更に落ち込ませる。仕事行くのも、その前にシャワー浴びるのも服着るのも、このまままたベッドに戻るとしてもそれすら面倒くさい。
「…俺はいいから早くシャワー浴びて来い」
ぼふんと頭からタオルを被せられる。体を隠せと言うことなのだろうと思った。今更じゃないの、数時間前まで散々恥ずかしいところも見てたじゃないのと言いそうになったけれどそれは二度目のため息に変わる。
「どっちなのよ」
行けと言うのに行かせないようにするみたいにぎゅっと抱きしめられたから。力を抜いて体重をかけると腕の力が少し強くなった。
「ねえ、」
何にも言わないリゾットの手に自分の手を重ねて握る。
私より大きくてごつごつした手。やさしくてあったかいひとごろしのて。
「今日一日ずーっと私のこと考えてて」
「どうして」
「ちょっと離して、そっち向きたいの」
ぺちっと腕を一回叩くとするりと外された腕が愛おしくて噛みつきたくなる。愛情表現。
ゆっくり振り返って見上げて、眠そうな目をじっと直視。手を伸ばしてリゾットの後頭部を掴んでぐっと引き寄せて口付けた。
荒々しく舌をねじ込んで唇を開かせて熱い口内をねっとり味わう。いつもと逆の立場が私の心に興奮の火を灯す。
「はあ、好き」
舌を絡ませてちゅっとわざと音を大きく立ててみて乱れる呼吸も気にせずに、夢中になってキスをした。日の差す部屋の真ん中で真っ裸でバカみたいに。
「…一緒にお風呂入ろうよ」
「時間があまりない」
「分かってるよ、しないから、一緒に入ろ」
さっきリゾットが寄越してくれたタオルを拾い上げて大股で浴室に向かう。三歩、進んで振り返る。
二日酔い気味、腰は痛いし睡眠不足。どろっどろの一日の始まりに。
「私のことずっと愛しててね」
(不安な私たちは愛の告白を繰り返す)