暝夢への誘い
□優しい贈り物 ◎
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「孟起、馬岱殿。」
「あ、趙雲殿!」
「子竜!」
馬超が執務に勤しんでいると、私服の趙雲が入って来た。
「あれ?その手提げは…何処かへお出掛けですか?」
「えぇ、執務が終わったので街へ行こうと思って。
二人を誘いに来たんだけど…無理みたいだね。」
「すまん…。」
趙雲は街へ行くらしい。
馬超の様子を見て、趙雲は苦笑いを浮かべた。
「じゃ、行って来るね。」
「分かった。」
「お気をつけて。」
優しい笑顔を見せると、趙雲は馬超の自室を出て行った。
「恋人殿も、少しは趙雲殿を見習って欲しいもんですね。」
「言ってろ。」
馬岱の皮肉を馬超は気に止めず、仏頂面で書簡に筆を走らせる。
本当は趙雲と街へ出たかったのだろう。