しゃぼん玉。

□Continue?
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 長い、長い人の列だ。
 川岸に数百人にも及ぶ人間が並んでたっていて、私はその最後尾に並んだ。並ぼう、とは思わなかったけど、一番前までこの列のたどり着く先を見に行こうと思ったけど、最後尾についた。
 サイン会の列とかなら、ずっと向こうにいるのがアイドルとかなんだったら別に興味もないし、帰りたい。でも、足は動かなかった。
 自分のおかれている状況が分からない。夢なのか現実なのか妄想なのか。
 周りを見渡してわかったことも、大してない。
 曇天であること。薄い霧が立ち込めていること。川に雲が映って灰色なこと。前にいる人もその前にいる人も、袷を逆にして白い着物を着ていること。頭に何か白布を巻いていること。
 そのくらいだ──いや、時々川に映る雲の切れ目から何かが見える。
 景だ。
 景が映っている。
 他にも何人か、仲のよかった友達が何人か。小学生の頃だろうか。
 それが誰なのかを確かめる前に、そこは暗くなった。手で目を隠したかのようだ。
 鬼ごっこでもしたのかな。
 簡単に少女は思って、笑う。
「十!!」
 頭に直接、自分の──幼い自分の声が響く。
 そして地面が早いスピードで飛んでいく。走ってるんだ。
 ふと、私は何か引っ掛かりを感じる。
 私はどこ?
 私は?
 私はどこ?
 眼だ。
 景色を、手を、景や友達を映している眼が、私なんだ。
 じゃあこれは?
 私の記憶?
 これが走馬灯ってやつか。
 私は──、
 私は死んだんだ。
「そうだよ。その上で僕は君に問う」
 ふりかえればいつのまにか青年。
「Continue?」
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