図書館戦争 二次創作
□×2の安心と思い
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面会時間になり、病院へ向かうとナースステーションで堂上の意識が戻ったことを告げられた。
「面会は手短にお願いしますね」
「わかりました」
一命を取り留めたとはいえ、先刻まで死線を彷徨っていた相手だ。
無理はできない。いつもより少しだけ遠慮がちにノックして扉をあけた
「堂上」
ベッドに横たわる友人と視線が合う。鎮痛剤(くすり)のせいか発熱(ねつ)のせいか少しだけ虚ろな瞳
「無茶しすぎ」
言いたいことは沢山あったはずなのに出てきたのはたった一言
「…すまん」
掠れた声が返ってきた。
その瞳が言いたいことは聞かなくてもわかっている
「笠原さんなら無事に任務を果たしたよ。当麻先生も英国総領事館に駆け込みを成功された。今はもう新幹線の中じゃないかな」
ベッドサイドの椅子に腰掛けながら、少しばつの悪そうな友人の顔を覗き見る。そんな顔をするくらいなら無茶をしないて欲しいものなのだが…
「笠原さん、お前の無事を聞いて泣いちゃったみたいだよ」
散々心配をさせられたのだ。
これくらいの悪戯は許されるだろう。
堂上の顔が僅かに歪んだ。
「報告義務とかがあるから、当分は忙しいだろうね」
だからすぐには来れないと思うよ。会いたいだろうけどね。
諭すように言った小牧の顔は穏やかな笑顔にからかいの色を含んでいた。
安堵の顔を浮かべていた堂上の顔が僅かに歪んだのは傷のせいではないはずだ。
もっと色々と言いたいところだが、先刻まで瀕死だった相手だ。
今日はこの辺にしといてやろう。
持ってきた着替えなどを軽く説明しながら、備え付けの棚に入れていく。
「祝福の言葉は次にとっておくよ。お・う・じ・さ・ま」
眉間に皺を寄らせた堂上の顔に思わず苦笑がもれた。でも、またこの友人とこんな風に話せて良かった。
「だから笠原さんが来るまでのもっと回復させておけ」
それだけ言うと小牧は病室を後にした。
新宿の書店でのことを聞いたら堂上はどんな反応をするだろう。当分笑いのネタに不自由しなさそうだ。そう思うとまた笑いがこみ上げてくる。
「さてと。少しでも早く堂上の下へ行かせてあげないとね」
一つ伸びをすると、恐らくこれから待つ作業が苦手であろう部下を手伝うため、基地へと車を走らせた
The End