図書館戦争 二次創作
□×2の恋愛と未来
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「堂上、いいかな?」
自室で一人ビールを傾けていると部屋の扉が少し遠慮がちにノックされた
「ああ。入ってこい」
「これ」
小牧が掲げた袋の中身は半ダースのビール
「悪いな」
勝手知ったる様子で中に入り腰を下ろす
「朝帰りだったってことは今度こそ間違えなかった?」
1本目プルタブを開け、一口煽ると、ここに来た1番の用件を口に出した
「…ああ」
堂上とその恋人、笠原さんの1ヶ月に及ぶ冷戦状態。
始まりを質せは彼女の昇任祝いの話で堂上が言い方を誤ったといえるのだが、1ヶ月にも及んだという面では彼女が拗ねていた面が強い。
この二人は…
あまり他人に踏み込まない自分が世話を焼きたくなるのだから。
笠原さんに堂上と別れる気はないと聞いたときは答えはわかりきっていたとはいえ、酷く安心した。
この友人にはもう笠原さんしかいない
「でも堂上らしいよね。プロポーズって普通指輪と一緒にするものじゃない?特に乙女な笠原さん相手じゃ」
「…煩い。からかいにきたなら帰れ」
「そんなんじゃないよ。一先ずはおめでとうでいいかな?」
2本目の缶を開け、同じく新しくプルタブをあけた堂上の缶に軽くぶつける
「…世話をかけたな」
「良いって。で、隊にはいつ報告するの?手塚にも教えてあげないと」
「ああ。柴崎には郁が言っているだろうし、隊には…」
その先の言葉を濁したのは今までの特殊部隊のお祭騒ぎを思い出したのだろう。
初の隊員同士の結婚になるし、彼女は特殊部隊の大切な娘っこである。
あの隊員たちがどんなことで祝うか…
「9年越し?出会ってからは長かったけど結婚決めるのは早かったよね」
「俺たちの年を考えるとおかしくはないだろ。何人の同期が結婚したと思ってる」
「まあね」
今頃女子寮ではどんな光景が繰り広げられているのだろうか…
「でも、今朝の笠原さん、まったくいつもどおりだったよね。堂上が朝帰りしたこと知らなかったら、仲直りはしたまでもプロポーズまでいったとは思わなかったよ」
「ああ」
「こんな風に部屋飲みすることもなくなるってことか」
二正に昇進した頃から何かと二人で飲むことが多かった。班を持つようになってからはそこに手塚も加わった。
互いに3本目のプルタブを開けようとすると、部屋の扉がノックされる
「手塚がきたみたいだね。言っちゃう?」
「そうだな」
この上官を尊敬してやまない頑ななもう一人の部下はどんな反応をしめすだろうか…
開けない方がいいかな…?
小牧は手に持っていた缶を静かにテーブルの上に置いた
The End