図書館戦争 二次創作

□×2の恋愛と未来U
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「明日は悪いな。折角の公休なのに」

「こういうのは順番なんだから。俺の時もあるし」


官舎への引越しを明日に控え、すっかり広くなった部屋で小牧と堂上はいつものように缶ビールを傾けていた


明日の引越しは堂上班のメンバーと柴崎といういつもメンバーが顔をそろえることになっている


「笠原さん、大丈夫かな?終わらないって言っていたけど」

「…柴崎がいるから大丈夫だろ」


業務終了後、脱兎のごとく事務室を後にした姿を思い出すと思わず笑いがこみ上げてくる


「ったくあいつは」

「そんなところも可愛くてしょうがないんでしょ?頬が緩んでるよ」


この友人のこんな顔は笠原さんと付き合うようになるまで見たことが無かった。


「お前こそ毬江ちゃんとはどうなんだ?」

「彼女が卒業したら結婚するつもり」


付き合い始めたのはこの二人よりも先だが、年の差は二人の倍であり、毬江はまだ大学生である。

早く名実共に自分のものにしたい気持ちはあるが、10歳も年下の彼女にそんな余裕の無さは見せたくは無い


「笠原さん、この間料理本のコーナーで必死に本を眺めてたよ」

「…寮暮らしだと料理することはまずないからな」


お互いに体が資本の職種だ。食事の問題はかなり重要である


「奥さんなんだから頑張らないとって意気込んでる姿を何人も見ているよ」

「…共働きなんだから分担でって言ってるんだが」

「乙女な笠原さんらしいよね。お母さんの影響も強いんじゃない?」

「だろうな…」


2本目のプルタブを開け、一気に流し込む。


「でもホントよくこの部屋で飲んだよね」

「だな。落ち着いたら官舎の方へも来い」

「そうさせてもらうよ。手塚たちと一緒にね」


図書大時代は想像もしなかった。主席を争った堂上とこんな関係になるなんて…


「おめでとう。やっぱりあの時から堂上には笠原さんしかいなかったんだよ」

「…ああ」


何かを言えば倍になって返ってくるだけなので、堂上は口を噤んだ。


「これで無茶はしなくなるかな?番犬がいなくなると笠原さんを狙う狼は多そうだし」


いくら火器規制に向かっているとはいえね。この友人には散々心配をかけさせられたのだ

餞別にこれくらいは赦されるだろう


「むしろ郁に言ってくれ」


堂上は深いため息と共に呟いた


「…ま、そうかもね。でもお互いの存在は抑止力にはなるんじゃない?もうなってるか」


黙り込んだ堂上に肯定とみて笑いがこみ上げてくる


「……お前だってそうだろ」


「まあね」


この仕事についている以上多少の怪我は付き物だと思っているが、自分が傷つくよりも、そのことで大切な彼女を悲しませるほうが辛い


「そろそろお開きにする?明日も早いし」

「そうだな」


小牧が部屋を出ようとするとき堂上の携帯が震えた


「…そのバイブ笠原さんだよね?夜のコンビ二デートのお誘い?最後だから」


「…煩い。とっとと帰れ」


「どうぜなら裏でのキスも楽しんできたら?もうすることはないだろうから」


赤く染まった堂上の顔にこみ上げてきた笑いを殺しながら部屋を出る


「さてと情報屋さんと交換しますか」


携帯を取り出し、苦労を共にした?協定相手を呼び出した。


これからのためにもね…?




The End




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