オリジナルなのかクロスオーバーなのか?な小説たち
□アウトドア野郎、西へ
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夜の県道をひた走る一台のマウンテンバイク
「はぁ、はぁ、はぁ」
彼は追われていた。
しかも実の姉から……更に姉のチャリはただのママチャリ…
対する彼は野山を高速で突っ走る為のマウンテンバイクだった。性能差は明白、それだけではなく、全く運動していない姉と何時も運動している弟。
だが、一時間以上突っ走っているのに姉貴の走るスピードに衰えは感じられない。それどころか弟のほうが音を上げ始めた。
"恐るべし食べ物の怨み"
それは、一時間前に遡る。
「ただいま〜」
部活を終えて姉貴が家に帰ってきた。
「姉貴、お帰り」
リビングでくつろぐ弟の手に持っていた物に姉は視線のフォーカスを合わせた。
姉の中で何かが切れた。
大事にとって置いたプリンだった。
彼は戦慄した。姉貴は笑顔だったが、目が笑ってなかった。むしろ獲物も狙うハンターの目だった。
「食べちゃったのね…私のプリン」
「え!」
頭の中で警鐘がなりっぱなしである。
「ヤバい ヤバい ヤバい ヤバい」
逃げるしかない。謝っても許してくれないだろうなと。
そして現在に至る。
20メートルくらいあったさはすでに5メートルくらいまで縮まっていた。
そして……
抜かれた。
終わった……弟は思った。
姉貴は笑っていた。
でも…やっぱり目は笑ってなかった。
弟はその後、姉貴にボロボロにされた。
めでたし。めでたし。