オリジナルなのかクロスオーバーなのか?な小説たち

□恋の終わりから始まりまでをMTBに乗っけて
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一彦の生活はトランスが来てから一変した。

エアボリュームの多い2.1インチタイヤが落ち葉の溜まったトレイルの地面をがっちりと捉える。

ブレーキを小刻みに掛けスピードをコントロールする
冬の冷えた空気の中を一彦はトランスと共に駆けていた。

人気のない森の中のトレイルを縦横無尽に走る。

それが登校する前の日課になっていた。

もっぱら授業中に居眠りしてしまうのはご愛敬。

授業の後半に何とか起きてノートだけ録った一彦は再び机に突っ伏した。

「お前、最近居眠り多いな」

顔を上げると日焼けした長身がいた。

無視

再び机に突っ伏す。

「コノヤロウ、無視すんなそのままあの世に送ってやんぞ」

「わーったよ。理由はコレだよ。俺のコ・レ」

そう良いながらケータイを開けた。

「お前にもやっと彼女ができたのかー」

ニヤニヤ笑いながらケータイを覗き込む。不肖、西山健太。

「あ?」

健太は一彦の顔と携帯の待ち受けとを交互に見た。

「じてんこだよな?」

「他に何に見えんだよ」

「ずーっと、コレ乗ってたのかよ」

「そうだな」

暫し二人の時間が泊まる。
「期待させんな!!」

健太は素早く一彦の後ろに回ると首を絞めはじめた。
「ッテメェ、何しやがる!チョッ、止めろ!このテニス馬鹿!」

〜数分後〜

「ゼイッ、ゼイッ、ゼイッ」
「ヒィッ、ヒィッ、ヒィッ」

死屍累々の男二人、全くもって絵にならない。


「で、どうしてまたじてんこなんだ?」

「理由かぁ?!何となくかねぇ〜」

「は?理由も無くタっけぇじてんこ買ったのかよ?」
健太が明らかに呆れた顔である。

「んじゃ、逆にお前なんでテニス始めた?」

「俺?!俺ねぇ〜何となくカッコイイ感じだったからか…」

今度は一彦がジト目になった。

「何でぇ、お前だってそんなに変わらんじゃん」

「まぁ、最初はそんなもんなんだろうな」

〜キーンコーン〜

「ヤベッ、センセ来たぞ」
「ほれほれ、とっと戻りやがれ」

今回の授業は寝れるな。一彦はそう思った。
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