NOVEL(O)

□君が好きだと言うこと(浜田→←泉)
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(まただ…)
アイツはまたあの子を見ている。
あの子とは、転入してきた女子の事だ。
噂によると人気雑誌のモデルをやっているとかで美人でスタイルは抜群に良い。

まぁ、アイツは男だ、可愛い女子や美人なお姉さんに目が行くのはしょうがない事だろう

でも俺は、違った。

俺は、アイツの事が好きだ
しかも恋愛感情として…
こんな事を言ったら世間の人達は気持ち悪がるだろう、もちろんアイツもだ

あの子を優しく愛しそうに見つめるアイツを見て、なんど胸が苦しくなって、何度枕を濡らしただろう…

あの子は、優しくてほんわかしてて、俺とは真逆…

アイツのタイプはあんな子なんだろう

俺みたいに、こきつかったりしないし、可愛い声でアイツの名前を読んで、優しい笑顔で微笑んで、アイツの為に一生懸命お弁当作ったり…

俺には到底真似できない

「おっはよう!!」
「お、おは、よう…泉、君…」

田島の次におどおどしながら入ってきた三橋はいつもどうり怯えてる

「あぁ…はよう」

「なんだよ。元気ねぇなぁ。ビックニュース持って来たんだぜ?な、三橋!!」

「う、うん!!」

三橋と田島が行っているビックニュースとはなんだろう?

「浜田が金子と付き合うんだって!!」

え?

「今…なんて…」

「だーかーらー。
浜田があのモデルやってる金子と付き合うんだって!!」

聞き間違えではなかった…
やはり、あの子と…
かぁっと目頭が熱くなる
俺は、知らないうちに走り出してた

途中で誰かとぶつかった、そんなのはお構い無しに走り続ける

気付いた時には屋上にいた
心地よい風が頬をすり抜ける

「泉!!」

この声は…

「は、まだ…」

そう、この声の主は浜田だ…
振り向いた瞬間目の前が真っ暗になった
人間の暖かな体温、心地よい感触…

俺は、浜田に抱きしめられていた

「は…まだ?浜田!!
お前、何考えてんだよ!!授業始まってるぞ!!早く教室に戻れ!!」

胸板を強く押す、だけど浜田は離さない強い力で押さえつけられている…

何でだよ…
離せよ…
そんなに中途半端に優しくするなよ…
彼女いるくせに…
もっと好きになるじゃんか…

「離せよ!!金子が待ってんぞ!!
彼女に見られたらホモだって、思われるぜ?
良いのかよ!!」

「良いよ…泉なら…」

「はぁ?!何言って「泉が好きだ…」

何て言った?
冗談にも程がある
「冗談やめろよ…シャレにもなんねぇ…」

「冗談なんかじゃないよ!!」

「彼女いるくせに!!」

そうだよ…
彼女いるんじゃんか…

「アレは田島に、告白されてるのを見られただけで、返事はまだしてねぇよ。
泉が泣きながら走ってたから、追いかけてきたんだ…」

なんだよ…なんだよそれ…
俺のただの勘違いかよ…

気付いた途端涙が止まらなくなった

「ひっ…く…ん…」

唇に何かが重なってきた…

くち…びる…?

唇を離され唖然としている俺を笑顔で見ている浜田

「泉…俺と付き合って下さい」

答えなんか決まってる…

「はい…」

無理矢理絞りだした小さい声、抱き締めてくれている優しく強い腕、もう少しこのままでいても良いよな…?



俺は、可愛くないし優しくもない、可愛い声で名前も呼んでやれない…
でも、君を好きな気持ちだけは誰よりも強いから…



誰よりも誰よりも…
君が好きだと言うこと

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